真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter4

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter4


真凛は不安になりながらも、タナちゃんの手を握ってあげた。

タナちゃん「く、薬が俺のカバンに入っているから、取ってくれ、、」
言われたとおり、タナちゃんのバッグを開けてみると、カプセル状の薬が透明な容器に入っている。
真凛「は、はい。。お水、持ってきますね」

それから、5分後・・・。
タナちゃんは白髪まじりの頭をかいて、恥ずかしそうに話し始めたのだ。
なんでも持病の発作があり、薬がきれると倒れてしまう、社員に話すとみんなに気を遣わせるから内緒にしたほうがいいよ、と奥さんに言われたことーーなど。

実は、真凛は小学生の時に母親の実家に遊びに行って、よく発作持ちのじいちゃんを見ていたので、あまり驚かなかったし、逆にタナちゃんに親近感がわいてきたのだ。
『はあ、タナちゃんも、病弱なのね、、素晴らしいわっ。』

その日は、ラブ子は風邪で病院に行くからといって休み、タナちゃんとふたりでずっとデスクワークをする真凛。

それから1か月は、何事もなく平凡な毎日が過ぎていった。
愛華さんも何かキャリア形成のために、資格を取るとかでいつも分厚い参考書とにらめっこで、真凛の様子を見るところじゃないらしい。

真凛「ほっ、、ラブ子が静かだと、ほんとにこのオフィスは平和なのよね、、、」

その時、オフィスの電話が鳴る・・・、

真凛「はい、坂田オフィスです。はあ、愛華さんですね、お待ちください」

それはある男性から愛華にかかってきたモノで、愛華に告げると慌てたように電話に出て、少し表情がほころんだかのように見える。
愛華「あっ、ヤスロウちゃん、会社にまで、電話なんて、、わかったわ」

どうも愛華の男友達らしく、真凛は初めて彼女が女性らしい顔付きをするのを発見して、びっくりしてしまった。
一緒にランチをしたときに愛華に聞いてみた。
真凛「え、さっきの友達ですかあ?なんか、かっこいい感じでしたよね?」
愛華「ん、昔の男よ、もう会ってないけど、私の恋愛事情にそんなに興味があるの?」
と疑わしい目で、じっと見てくる愛華さん・・・(マジ、怖い)

『ま、まずい。。まず。。きっと彼女の心は、他の女性には侵入されたくないのだろう』
まだ、この時真凛は愛華さんとの間に、事件が起こるとは予想だにしてなかったのだーーー

平和をこよなく愛する真凛にとって、、、彼女の一撃は、、、
ピンチ、、ピンチ、、ああ、神様、、早く家に帰りたい、、、(真凛の心の声で。。)


冬のある日、この日は夜7時から、相撲をこよなく愛する智哉とのデートの予定だった・・たぶん、奮発してイタリアンレストランに行くだろう。

タナちゃん「ねえ、真凛ちゃん、ちょっと立て込んでて、残業お願いできる?」
真凛「わあ、今日はすみません。予定ありなので・・」
タナちゃん「もしかして、彼氏とデートだろう?それじゃ邪魔できないな、楽しんできてね」

おー、、やっぱり寛容なタナちゃんである、確か今日の3時のおやつはタナちゃんの奥さん手作りの、クッキーだったかな。。
きっと家庭的な女性なのだろう。。タナちゃんの女性の好みが、わかるわ!

真凛がすくっと立ち上がって、通勤バックを肩に下げようとしたことろ・・
チョンチョンと、、真凛の肩を叩く気配がしたのだ。

『も、もしかして、、?? 嫌な予感が・・。」

愛華「下北さん、このデイスプレイは、明日の午前中には顧客に見せるんですよね、
   これは真凛さんしか出来ないから、今日中に仕上げてもらいたきですけど」
ラブ子は無残にも、これからデートという私の肩を摑み、デイスプレイの前に引き戻そうとするのだ・・・。
一方、タナちゃんは困った表情で私たちを見ている。
タナちゃんは、真凛に目くばせをして「もう帰っていいよ、」と合図を送ってくれたのだが、ラブ子は真凛のデスクに分厚い書類をバサッと投げつけた・・?!

愛華「あと、この書類も真凛さんが目を通してくれないと困るから、今日中に片付けてくださいね!」

ああああ、、 これからってもう定時ですよね、、昼間のお勤めは、しっかりやりました。。

確か、この書類は別の外回りの榎本さんっていう30代の男性が、「オレがやっておきましたから」って真凛にヘルプを出してくれていたのに・・・。

このラブ子は、どうしても真凛に残業をさせたいらしい。
その時、顧客が訪ねてきて、タナちゃんがは外に行ってしまったのだ。
あいかわらず、真凛を睨みつけている愛華さんと、目の前の書類、、、。

そして、明日の早朝にやるつもりだったデイスプレイ。

『あ、、そうだ、大体は要領は分かるから、あと1時間で仕上がるだろう」
と、真凛は黙々と作業に打ち込むのだった。

午後6時過ぎのオフィスの部屋で、静かな時が流れるーーー。

真凛が書類に目を通したり、デイスプレイをチェックしているのに、なんとラブ子は自分のデスクで、隠れてレディースコミックを、読んでいるのだ・・・。
愛華(心のつぶやき)『あ、、、さっき智哉にメールしておいたけど、仕方ないな。。。ラブ子さんが帰れば、さっさとデートに行っちゃうのに」

器用な手つきでデイスプレイを整えると、意外と早く思ったデザインに仕上がったのだ。
そこで、ラブ子に「どうでしょう?」と、お伺いをたてるとーーー
ラブ子「でも、ここのデザインはこれじゃあ、客が見ないですよね?もっと、ニーズに合うものにしてくださいよ」

ラブ子は、本当にそう思っているのかいないのか、ダメ出しを容赦なく出してくる・・。
自分では、手伝いもせずに真凛のデートを知ってか知らずか、40過ぎのおばちゃんは、、、、手ごわいわーー!?

『おっ...といけない、私も同じ世代だわ」

ーーーーーと、その時、天の助けか御仏の助けが、デスクの電話が急になったのだ・・・!

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter4

真凛とにぎやかな人たちの日常 chapter4

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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-12

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