雑詠・冬
冬の藪にガマズミの実の残りあり
竹林に冬陽なき径一軒家
孟宗竹の林の中に細い道があったので、覗き込んでみたら、家が一軒あるようだった
その道は草も生えていない、竹の幹に囲まれた、陽の差さない地面が続いている静かな細い道だった
風つよく竹の鳴りたる師走かな
竹の葉の揺れつづくなり風寒し
竹林の道端に面したところには、低く細い竹が生えていて、その葉が風に揺れていた
竹の葉は細く、その葉蔟の姿は蓑のような感じに見える
すぐ下にはヒサカキのきれいな緑色の葉が繁っている
軒下に雀の眠る冬の夜
鉄骨の車庫の下に小さな白い糞が落ちるようになってしばらく経つ
気になって見上げると霧除けの鉄の細い角材の上に、雀らしき姿があった
朝早く、まだ薄暗いうちは、そこにいるけれども、明るくなった7時過ぎにはいなくなってしまう
葉の落ちて冬木となりし欅かな
風すこし雀の騒ぐ枯野かな
小麦の芽青くなりたる雨上がり
松手入れ師走の空の鋏音
6尺の注連縄抱へ帰り来し
薄紅の山茶花美しき狭庭かな
刈込んで咲いている花や枝を切ってしまうのが惜しいほど沢山のきれいな花が咲いていた
この庭は遠い昔、親父と一緒に作った庭だった
山茶花の根元近くを見て、その太い幹を見た時に、植えてから長い月日が経ったのだと思った
植えた時には幹の太さは指ぐらいしかなかったように思う
早々と旧知の友と忘年会
心なしか日の伸びたる冬至前
薄墨の朝雲ありし師走かな
軒下に寒さを避けし雀二羽
音もなくガラスを伝ふ冬の雨
紺色の稜線たしか冬筑波
見上げれば夢みるごとき冬の星
雀二羽軒より翔ちし冬の朝
朝の6時半頃、車庫の軒下を通りかかったので、雀はまだ眠っているのだろうかと思いつつ見上げると
二羽の雀がツツッと鉄骨の影から出てきた
そのまま勢いよく少し歩いたかと思うと、庇の上に飛び出した
その動きが寝起きしたばかりにしては意外に素早っしこく、元気な感じがした
注連縄を燃やす炎の赤々と
今日、5本の注連縄を取り替えた
古い注連縄をただのゴミとして処分するには抵抗があり、いつも庭の広いところで燃やすようにしている
固く絞まっているので鋏で切ってほぐしながら少しづつ燃やす
赤い炎を見ていると焼尽という言葉が浮かぶ
枯葦の辺り静かな湖広し
大輪の月の暈見し年始め
初釣りや桟橋白く霜降りし
風ともに雪の入りし勝手口
新年の淡雪白し庭静か
寅吉に雪を見せたる戸口かな
新年のコバルトブルーの空仰ぐ
正月の花の一束飾りけり
千両と実南天の花の束
陽の射さぬ山影雪の残りあり
新年の空の明暗日差しまだ
筑波路の空に羽ばたく寒雀
餅切って冷蔵庫に入れしまゝ
寒風に老木立ちて動かざる
時雨雲 言葉遮る風急に
訃報聞く一日の旅の最中にて
寒風に星の瞬く夜空かな
寅吉に散歩せかされ冬夜道
目の前に変はらぬ冬の星座あり
星の光を見ていて・・
真心って寂しいもんだ
そんな言葉を思い出した
冬灯し静かな店の駐車場
ラーメンを食べて店の外に出ると、静かな明かりが駐車場を照らしていた
自分の車は型の古いオールドカーである
いつの間にか時代が変わり、車も変わった
今の人達は皆、きれいな車に乗っている
少し汚れた自分の車は駐車場のやや奥まったところに停まっている
竹林の丘に冬陽の遊びけり
枯れた竹をすべて伐って、竹の根元の起伏がきれいに見えるようになった
乱立する青い竹の根元は静かで、不思議な美しさに満ちている
上を見れば竹の葉の間から光が差し込み、林の内に薄明るい陰影をもたらしている
木瓜の花朱色の花は横向きに
禿松手入れをしたる枯山水
冬木伐って風に木屑の散りにけり
幾百の翼羽ばたく寒雀
蝋梅の枝花瓶にありて咲きしかな
注連飾り燃やす煙の昇りけり
暗さなき天寿の葬や冬の朝
寒鴉細き梢の向こう側
混ぜ垣に冬陽の差して明るげに
雑詠・冬