真空の比喩 100 (手前)

この霧の向こうには私が、
いなかった。いつだって、
いなかった。この霧は、
嘘。いつだって私は、
ここにいた。いつだって、
ここにだけいた。この私を、
私は疑えない。
生きる私のかたわらに臨在する私を。
私は私を私に委ねよう。
私が今を知っていることを私は知っている。
私は私と手を繋ぐ。

真空の比喩 100 (手前)

真空の比喩 100 (手前)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-10

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