真空の比喩 79 (不純)

何もしていない無表情の人が立っている。
(何もしていないかもしれない無表情かもしれない人かもしれないが立っているかもしれない)

何もしないのが良い人には
その人がうらやましく見える。
 いいなあ
 私も何もしたくない

何かしていないと損するとか思っている人には
その人が愚かに見える。
 ははん
 ぼーっとしていないで何かすればいいのに

見られているはずのそれは
見られていない。
人は対象を透かして私を想像する。

それが無為なのかどうか。
それのこの表情は無なのかどうか。
すら…正しいのかどうか。
対象は謎。
私すら対象である。すなわち謎である。

真空の比喩 79 (不純)

真空の比喩 79 (不純)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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