真空の比喩 62

いまが終点だとして
あの時ぼくは
この終点に至る道の
始点を走っていた
あの時ぼくは
終点についた

いま終点に立つぼくを
まるであの時のあの時のぼくだ
とぼくは言うだろう
全てが道すがら
ぼくは終わらない

何も目指さない
ぼくはずっと走るだろう
ずっと息を
切らして
心臓を
どきどきさせて

真空の比喩 62

真空の比喩 62

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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