真空の比喩 51

思惑の中に閉じこもって
彼は死んだ
そこには水も空気も無かった

死にながら彼は
思惑が死をもたらしたのだと
考えた
そして別の思惑の中へ入ってゆき
彼は死んだ

死に慣れすぎた彼は
死を生だと
定義した



彼は
帰らぬ人となった
息を引き取るその時へと
ただ彼は向かう

真空の比喩 51

真空の比喩 51

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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