真空の比喩 47

名付けると
途端にそれは
名前に隠される

ぼくらが例えば
悲しみとか言うとき
名付けられたそれには本当は
悲しみとも呼べない何か
がいくつも含まれている

ぼくらが
感情…と言うとき
感情 だけでは到底納得できない何か
がそこにはいつも含まれている

ぼくらが
言うとき
言葉にされる前の
それ
は意味ではない

存在は沈黙している
ぼくらは騒ぎたてる

真空の比喩 47

真空の比喩 47

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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