真空の比喩 46

演者:彼(彼女)

彼は彼を探そうとあちこち見ている
彼の姿はどこにも見えやしないのに
彼はここにいる ここに今
ということを分かっていながら。
そうして夢中になって何かやってる彼
の目の前には現実がある
観客はいない 人々はいる
舞台はない 世界はある
役はない 彼がいるだけ
なのに
彼は抜けがらのようで
不真実
な印象を放っている
血は流れていない
それは悲しい劇

真空の比喩 46

真空の比喩 46

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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