真空の比喩 38

手に
閉じこめたと思ったら
もう何もないことが
分かっていた
あれ
手をひらく前から
閉じこめる前から

私 を満たしうるものは
そこここにあるようなものじゃないな

 *

私 は泉だろう
己から湧きでる水によって満ちる
以外に
満ちてゆく…
ことなんてないさ

泉は
涸れないさ
在り処を忘れても

真空の比喩 38

真空の比喩 38

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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