真空の比喩 37

目と事物
の間に介在する記号
目は
記号ばかりを見ている
最後にほんとうの事物を見たのは
いつだろうか

人は
セリフばかり覚えて
セリフばかり話す
そしてほんとうの言葉を
忘れてはいないか

記号もセリフも
もういらないよ
ほんとうの言葉を
話すために

みんな
誰かを残して逝く
最後に見えるのは
ほんとうの事物だろう
誰かの耳に残り続けるのは
ほんとうの言葉だけだろう

真空の比喩 37

真空の比喩 37

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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