真空の比喩 28


映像を見ている自分を見ている
役を演じない自分を演じる
詩を書く自分を書く
詩のない自分を書く
ぼくは逃げる
逃げる自分から逃げる


次回予告の映像が勝手に流れる
その次回が来たためしはないのだが。

かすりもしない。
ぼくは次回予告が嫌いだ。


迷路を歩きだすと
途端に迷いだす
路にではなく
迷路が与えてくる印象
が私を私に迷わせる
私は迷路だった


言葉が書かれる
ぼくの現実から言葉はでてくる
それは光っている
ぼくの目には。
現実は直ちに変わる
もう光っていない

真空の比喩 28

真空の比喩 28

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-09

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