『傷を舐める』

ハーバーランドの夜景を見ながら
キスという名の応急処置


『傷を舐める』


こうすればいつも大丈夫だったでしょ
あの子もあの子もあの子も
本命のいる子を選んでるみたい
でもアタシは今日も慰めてあげる

可哀想なんて思ったりしない
馬鹿な傷を作って仕方のない人
腕を回して引き寄せて
今はアタシだけを見てればいい

貴方の趣味が悪いのは
今に始まったことじゃないけど
毎回こうして慰めを求めるのも
取り返しのつかない悪手よ

応急処置と言いながら
更なる深手を負わせるの
アタシが優しいだなんて
本当におめでたい頭ね

いつだって綺麗な夜景
海風の匂いに貴方の香水が混じる
歪んだ笑みも知らずに溺れる
その姿が滑稽で楽しいだけ

次の子に振られたらまた誘ってね
同義語で上手く言いくるめて
何も得ないままの貴方を見送る
悪趣味と言われてもこれが楽しいの



「香水をつけない女には理由があるものだから」

『傷を舐める』

『傷を舐める』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted