『焦げた花』

悲しみも苦しみも呑み込んで
今夜アタシは嘘吐きになる


『焦げた花』


打ち捨てられた花の運命を
嘆いてくれた貴方の為に
高らかに歌う愛のうた
真実なんて今は必要が無い

貴方が選んだドレスに身を包み
貴方が選んだ香水を纏う
全てがただ一人の為に存在する
永遠に続く夜のはじまり

張り裂けてしまった胸は
元には戻せないけれど
慈悲という名のコルセットで
取り繕うことはできるから

こんなにも優しい哀れみを
知らずに生きてきたけれど
一度触れてしまえば手放せない
手放せるほどアタシは強くない

贈られたエメラルドの首飾りが
細い首に重く伸し掛かっても
まだアタシは歌えるわ
どんな愛でも確かにそこに在る

残ってる心を込めてアウトロへ
アタシはもう貴方だけのもの
眩しいかのように目を細めるのが
愛おしいから生きていける



「燃え残ったアタシを愛して」

『焦げた花』

『焦げた花』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-28

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