《からめるにがし》ー小連作短歌ー

あさ凹み戻らぬ羽毛まくら踏む天使の対価挟まるベッド


青い菜の茎に止まり長い指 糸引く(かいこ)がくねらす電話


ままごとに乾く大人が煮るへちま ふふむ風船ガムは(ふく)るる


からからに甘し働き湛ふ蜜 器の縁で毛繕うハチ


あばら骨浮いて泡立つ石鹸が溶かす汗疹を惜しまず払い


育つ頃 駆ける勢い土踏まず注いだ雨で苗字は萎えず


ミンミンと喚く残暑をまたぐ虹 かへる金蚉(かなぶん)濡るる背の翅


ハズレなく当たりもせずに交換こ 弛まぬ涙袋を畳み


ちょうちょうとをさなき口吻夢に出づ 別る為にも触れたき背中


見慣れない夕陽を噛んで万華鏡 ほじくる匙にカラメルにがし

《からめるにがし》ー小連作短歌ー

《からめるにがし》ー小連作短歌ー

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-21

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