フィルター

冬の匂いに気付いた日、いつも見ていた看板の文字は“テナント募集”に変わっていた

どこか遠くへ旅に出るより馴染みきった感触の中で休みたいけれど、西日の外へ出て
目が開けられないくらい眩しいのにあったかくないね、なんて笑えるなら大丈夫だね

夢の中に置き忘れられた傘みたいな、空に残る桃色を見つけたって誰かに教えたくて
みんなどんな顔をしてたっけ、思い出せなくて胸が縮む前に隣のあなたをつかまえる

きょうは早く帰ろう、
晩ご飯は何にしよう

食べることさえ忘れなければ多分、味がしなくたって私たち、けっこう生きられるね

フィルター

フィルター

日記です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted