いつでも一緒だったのに

いつも一緒だったのに。
いつまでも一緒だと思っていたのに。
あなたはいつの間にか硬く冷たくなってしまった。


あなたはいつも暖かくて、精一杯わたしを温めてくれた。
そんなあなたが大好きで、ずっと離れないと思っていた。そう心に誓っていたのに。
あなたはいつもでも暖かった。でも、いつ頃からか「熱すぎる」と思うようになってしまった。
傍にいるとヒリヒリするような感覚さえおぼえた。

だから、わたしから離れた。
離れるのは怖かった。あなたのいない生活はとても寒いことはわかっていた。
骨身にしみるような寒さもあなたがいたから耐えられた。
でも、離れるしかなかった。
このまま火傷するくらいなら、寒さに凍えたほうがマシだと思ったのだ。
離れたとしても、あなたはまた暖かくわたしのことを受け入れてくれるとも信じていた。
浅はかだった。

少し離れていた間に、あなたは冷たくなってしまっていた。
取り返しはつかない。
硬く冷たくなってしまったあなたを、もう、元に戻すことはできない。
それだって、わかっていたはずなのに


「ねえ、母さん。古いカイロって何ゴミ?」
硬くなった使い捨てカイロを握りしめてわたしは言った。

いつでも一緒だったのに

使い捨てカイロを背中に貼っていたら、熱すぎて低温火傷しそうになった時の話です。
火傷にはご注意ください。

いつでも一緒だったのに

いつまでも一緒にいたかった。でも、別れの時はやってきた。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-01

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