手紙
これは、そこまで遠くない昔の話である・・・・・
ヒュゥーーーー・・・・・
空から、黒い物体が落ちてくる。
ドカァァァン!!!!
一瞬にして、すさまじい炎をあげる。
人が、燃える。
私は、必死に逃げる・・・・・
1923年、大都会、東京で産声を上げた、高木美香子。
私の家は、他の家と変わらないような家で、国のため、天皇陛下のためと教えられ育って来た。
「美香子、手伝って。」
「はい。」
現在私は十七歳。
毎日変わらない夕食の用意。
かぼちゃを少々切って、ほとんどお湯のおかゆともいえないものを食べる。
でも、私は苦ではなかった。
家族が、いたから。
私が十三歳の頃、大日本帝国はアメリカのハワイ島の真珠湾を攻撃したことによって、太平洋戦争が勃発した。
日本は、ますます貧しくなり、私達が住んでいる東京など、都市部では食べ物にも困るようになり、空襲の被害も広がった。
「ねぇちゃん、腹いっぱいになんねぇよ・・・・」
五つ年下の弟と、九つ年下の弟が悲しそうに自分の腹を見つめる。
「ねぇちゃんの食べ。」
二人に私の分を渡す。
将来、この二人は家を出て、出兵するに決まってる。
手紙