『滅びの果実』

ほんの少しの好奇心で
口にしたのはアンチモラル


『滅びの果実』


ひと口齧ってタブーに触れた
ふた口目で戻れないと知った
貴方も反対側から齧ってしまったのね
静かに狂ってくその暗闇が好き

目が合った時から通じ会えたのは
共通する背徳の欲望の所為
アタシは陽が差す窓辺から
貴方は小難しい本から顔を上げた時

何故か気づいてしまう引力で
アタシ達の運命は交差した
滅びの美学は貴方によく似合ってる
アタシに似合うのは何か探してみてよ

食せば失くなる果実でも
一度堕ちれば永遠になる
貴方だけが知るアタシを早く
この身体から見つけてみせて

内腿の黒子みたいに親密な
脳が痺れるほど甘い秘密
噛み付く牙の柔らかさで
アタシを天国に連れてって

どうせ滅びるというのなら
この一瞬を千年続けたって構わない
それだけの価値があるでしょう?
貴方とアタシでしか作れない楽園よ



「貴方となら千年先でも発情するわ」

『滅びの果実』

『滅びの果実』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-05

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