zokuダチ エスカレート編・24

クソ大事登場編・2

クズだっていいじゃないか、クズだもの、大事。

「……ケイちゃん、でも、気持ちは分るけど……、
やっぱりちゃんと領主さまと話し合った方がいいわ、
きっと今頃心配してるわよ……」

しかし、ケイはアイシャの言葉に真っ向から反旗を翻した。

「嫌だよ!もう、あんなの父親でも何でもねえさ!
唯の変態エロ糞親父だよ!奴の今までやって来た事
思い返してみたら虫唾が走って来た!腹立つっ!!
冗談じゃねえってんだよっ!!クソタレめ!!
……この先の将来、ボケ糞爺の老人介護するのも
あたしはごめんだしっ!!」

「ねえ、ジャミルも何とか言ってあげて、
このままじゃケイちゃん、本当にお家に
戻らないわ……」

ケイはもうすっかり気分が最初の時の不良娘に
戻ってしまっていた。

「別にいいんじゃね、本人が嫌ならよ……」

「……ジャミルっ!!」

「ジャミルっ!さっすがだね、話が分かるじゃん!
じゃあ、あたし此処で暮らしてもいいんだねっ!」

「けどな、此処で暮らすにも、黒子の許可が
いるんだ、幾ら住居人が欲しいって言っててもな、
あいつが駄目だって言った場合、どうしても駄目だぞ、
ちゃんとおっさんと話あってこい、それからだ、
ちゃんと屋敷と縁を切ってこい……」

「うんっ!分ったよっ!あたし、もうあの屋敷と
おっさんと金輪際縁を切って来るから!だから
ちゃんと部屋手配しといてよね!んじゃっ!」

ケイは大急ぎでマンションを出て行った。
アイシャはそれを不安そうに見守るが……。

「ねえ、ケイちゃん帰っちゃったけど
どうするのよう……」

「ま、今日はもう戻って来ねえよ、屋敷を
出たいなんて話持ち出したらそれこそ
おっさんの監視が酷くなるだろうからな、
それにしても、屋敷に帰って来たっつー奴、
相当のクズだな、一度お目にかかりたいモンだぜ……」

「なんだか、又あのお屋敷も大変な事になってるのね、
どうして騒動ばかり起きるのかしら……」

「俺も最近あっち行ったりこっち行ったりで忙しいなあ、
身体が幾つあっても足りやしねえよ……」

案の定、ケイが屋敷に戻った後、ケイはあれから
マンションに来なかったのである。

更にそれから一週間が経過してしまう……。


「ごめん下さい、ナンダカンダ家の庭師でございます……」


「ジャミル、ナンダカンダ家の庭師の爺さんだったかね、
確か、アンタを訪ねて来てるよ、早く行ってやんな」

今日は珍しくバーバラがジャミルの部屋に来る。

「そうか、分った、今行く、相変わらず化粧くせえな、
妖怪オババはよ……、化粧ばっかしてると、その内、
顔の皮膚が垂れて来てよう、妖怪つるべおと……、
……いでででででっ!!」

「余計なお世話だってんだよ!早く行ってやんな!!
アンタも近いうちに妖怪大糞毒舌小僧になる日も
近いってのさ!!」

「……いででででで!!このっ、妖怪つるべ落とし
オババめっ!頭抓るなっ!暴力反対っ!!」

「無理矢理合体させるんじゃないっ!早くお行きったら!!」

サド女王バーバラに蹴り倒され、ジャミルは玄関に
渋々出向く。確かに玄関には困った様な顔をした
庭師が待っていた。

「爺さん、久しぶりだな、ケイの事だろ?まあ、
とにかく俺の部屋に来てくれよ……」

「おお、流石ジャミルさんですな、ご迷惑をお掛けしまして、
では少しの間失礼します……」


「おい……」

自室に戻ると、すでに部屋にはアイシャ、ダウド、
アルベルトの3人が勝手に待機して待っていた。
ダウドに至っては、隠しておいた豆ピーを食べている。

「私達だってケイちゃんが心配ですものっ!」

「友達だからね……」

「うん!そうだよお!」

「オレもだっ!レディの危機と聞いちゃ
このジタンの出番だろっ!」

……ジャミルの部屋に隠れていたらしい、ジタンも
ひょっこり飛び出して来た。

「皆さま、本当にすみません、こんなにお嬢様を
心配して頂いて……、爺は嬉しゅうございます……」

庭師が俯き出したのを見て、ジャミルも慌てる。
やはり只事ではないと確信したからである。

「爺さん、話してくれよ、俺に出来る事なら
出来るだけ力になるからさ……」

ジャミルの側に、他のメンツも寄って来る。

「有難うございます、実は……」


ケイはあれから屋敷に帰り、即ナンダカンダと縁を
切りたいと伝えたものの、ジャミルの予想通り領主は
激怒し、ケイを衛兵の監視付きで部屋に閉じ込めたらしい。
現在も見張りは鋭く、ケイは外出にも何処にも出られない
様子。幾ら何でも領主が其処までやるとはジャミルも
予想していなかった。庭師も何も其処までと説得するが、
領主は効く耳持たず……。挙句の果てに、ケイを教育の為に
寮制のお嬢様学校へ入学させようと考えているらしかった。
そして……、帰って来た甥っ子には相変わらず甘く、与える
小遣いも常に耐えさせない状態。

「何だそりゃ、……おっさん、どうかしてんじゃねえのか、
いや、爺さんの前で、失礼……」

「いえ、いいのです、しかし儂にも一体どうしたら
いいのか……」

「幾ら何でも酷いわ!どうしてなのよう!……私、
領主さまとケイちゃんがきちんと話し合ってくれればと
思ってたのに……、今そんな状態じゃなかったのね……、
ケイちゃん、ごめんね、どうしたらいいのかしら……」

「また何かに取りつかれてるって、訳でもなさそうだよ……、
ね、今度は……」

「ダウド、領主さまは素だよ、ケイちゃんの事を
心配し過ぎたが為の行動なのかな、でも、それに
しても……」

「その屋敷に帰って来たって言う、甥っ子さ、幾ら
なんでもおっさん、甘やかしすぎじゃねえの?
ああーーっ!レディが悲惨な目に有ってると思うと
いても立ってもいられねえ!」

頭を掻きむしるジタンを見て、確かにジャミルもそう思う
処があるらしく、吸っていたタバコを強く指で潰すと、
改めてさっきから黙りこくっている庭師の方を見た。

「……俺もそう思う、数十年ぶりで、幾ら本当の
血縁関係がある身内だからって、甥っ子のバカ
可愛がり過ぎにも限度があるぞ……」

「……旦那様が坊ちゃまを異常に可愛がりすぎるのにも
訳がありましてな……」

ジャミル達はまだ、領主の甥っ子が、アイシャを車に
連れ込もうとしたあのクズ男である外観我大事……、
と言う事実はこの時点では知らない。庭師が大事の
名前を直に出さず出さず話したからである。

大事がまだ3歳の時の話である。領主の妹、つまり
大事の母親……、は、豪華客船旅行に出掛ける為、
大事を領主に預け、夫と共に船に乗る。……しかし、
乗っていた船の大事故で、両親は帰らぬ人となり、
大事はそのまま、成長するまで領主夫婦の元で
暮らす事となる。

両親を失った大事を、領主は愛情を注いで精一杯
育てたのだが、毎日金に囲まれて、何不自由なく育ち、
結果的に甘やかし過ぎた為……人の気持ちも分からない
立派なクズ男とへと成長す。奥さんの提案で余りにも
人間として成長出来ない大事を何とか自立、成長させようと、
遠い町へと送り独り暮らしをさせたのが、10数年前……、
領主の奥さんも他界し、丁度、大事と入れ替わりであの、
ルーゼとゲスが屋敷へと入って来た時期でもあった。


「……事情は分かった、事情は……、けどな、クズを
これ以上、クズにしてどうすんだっつーの!おっさんは
本当に甥っ子が可愛いんだろうな!?……分かってんのかよっ!!」

「……うわあ、1人で切れ出したよ、オイラしーらないっ!!」

「すみません、……僕も、どう言ったらよいのか、その……」

「庭師さん、領主さまの亡くなられた奥さんは、何でも
ズケズケと厳しく言う方だったと聞いたんですけど、
甥っ子さんを叱らなかったんですか……?」

アイシャが問うと、庭師は更に困った様な顔をする。

「はあ、それは叱りましたよ、遠慮なしに……、
坊ちゃまが泣いて我儘を言えば、殴る蹴るは
当たり前でしたから、ですので、常に奥様の
前では大人しくしておられました、……ですが、
やはり、旦那様が陰から坊ちゃまを……ですな……」

慰さめる為、奥さんの隙を見て小遣いを与え、ベタベタ
甘やかし放題だったと言う事だった。

「可愛いのは分るぜ、可愛いのはよ、血の繫がった
身内だもんな、けどよ、やっぱりなあ……、はあ~、
ケイが心配だぜ~……」

流石のジタンも対応に困りチラチラとジャミルの顔色を
覗ってばかりいる。

「爺さん、俺がおっさんと話してみらあ、んで、
そのクズ野郎を暫く此処に住まわせてやる、
何せ此処にはよ、……おっかねえおばさん達が
ゴロゴロしてるからよ、ケイよりもてめえの
甥っ子を教育と更生させる方が必要なんだって
事をよ、分らせてやる……」

「……ジャミルさん……」

「ジャミルっ!!ほ、本気なの……?」

「アイシャ、俺は本気だ、アル、シフにも協力頼むぜ……」

「わ、分ったよ、僕からお願いしてみる、最近身体が
鈍ってるってブツブツ呟いてたけど……、僕、責任
取れないよ……」

「いいのさ、ビシビシ扱いて貰ってやる、後、
バーバラのオババにもな、それと、エレンもいたか……、
うわあ、恐ええ、俺知らねえ……」

遂に、ジャミルが動き出す。そして、……領主の
甥っ子の正体も、ジャミル達は此処で等々知る事に
なるのである。


ナンダ・カンダ家、亀裂……

ジャミルは早速、単身でナンダカンダ家へと
向かった。アイシャ達も行きたがったのだが、
今回はジャミル一人で行動する事に。

「おお、ジャミル君か、暫くだね、元気だったかね?
……今日は他のお連れさんはいない様だが……」

「ああ、俺1人さ、話したい事があるんでさ、おっさんと……」

「……私とかね?はは、相変わらず面白いね、君は、
最初に会った頃を思い出すね、ふふ……」

「……うえ!?」

一瞬、ジャミルの脳裏に最初の頃の領主との最悪な
初対面がフラッシュバックした。もしかしたらこの
親父は本当はジャミルを諦めていないのかも知れなかった。

「今回は君1人、という事は、強い酒を出しても
構わない訳だね、いいね、たまには、勿論特上の
ステーキも用意させよう、ゆっくりしていって
くれたまえ」

「……」

領主は一旦自室に去って行く。ジャミルは最初は当面、
駄目糞甥っ子の件で、領主にとことん注意するつもりで
あった。……が、特上のステーキ……、の、言葉に
早くも心がふら付き始めてしまっていたのである。


「さあ、遠慮せずに、この肉は特にいい肉だよ、
大肉市場で徹底的に激選し探して来た高級霜降り肉だよ、
美味いぞ、さあ……」

夕食時、食堂には領主と庭師、その他、お付のメイド
軍団しか姿が見えない。ジャミルは思い切ってケイの事を
尋ねてみようとするのだが。

「あのさ、おっさん、ケイは……」


おじさん、たっだいまーーですうーーっ!!


「!!」

其処に、ジャミルの声を遮り、玄関の方から嫌に
テンション高い声がする。

「おお、帰って来たか……」

「爺さん、誰か来たのかい?……まさか……」

「はい、坊ちゃまですじゃ……」

「と、いう事は、遂にご対面て奴かよ!」

「はい……、ですじゃ」

ジャミルは今日、自分が此処に訪れた目的をやっと
思い出し、テーブルをバンと叩いて立ち上がる。
その様子を見ていた領主は不思議そうな顔を
しながらジャミルの方を見た。

「ジャミル君、どうしたのかね、急に、落ち着き給えよ、
ほら、極上のワインだ、……500年物だぞ……」

「おっさん、あのなっ!爺さんから聞いたんだよ、
アンタの甥っ子の事で……!」

と、ジャミルが言った時、遂に食堂にあの……、
外観我大事が姿を現したのである。

「いやあー、今日もですね、町でカワイイ子を沢山
見掛けましてね、……おや?」

「……お前……」

「は……」

ジャミルと大事が目を合わせ、遂にその場の時間が止
まった。そして……。


「……ああああーーーーーーーっ!?」


「てんめえ……、あん時の詐欺師男……、しかもうちの
アイシャに手を出そうとしやがった……、そうかい、
この糞男が…、おっさんの甥っ子だったのか、どうりでな!」

「な、な、な、……なんで……、この僕の美しい差し歯を
折った、馬鹿男が、……どうして……」

「ジャミル君も、大事も落ち着きまえ、一体どうしたと
言うのだ……」

「……おじさんっ!何でこんな奴が此処にいるんですかっ!?
こいつは僕の大事な差し歯を折った張本人なんですよっ!?」

「ぼ、坊ちゃまもジャミルさんも、どうか落ち着いて、
話し合ってくださ……」

「……ふざけんなこの野郎ーーっ!!」

やはり、庭師が止めるより早く、ジャミルは大事の服の
襟首を掴むとそのまま殴り倒した。しかも、当たり前の様に
ジャミルの方が強い……。大事は只ジャミルに只管ボコられて
いるだけの状態であった。もう、食堂内は食事どころではなく、
大騒ぎで側にいたメイドさん達も逃げ回る……。

「……ジャミル君っ、落ち着きたまえと言っている!大事が
一体何をやらかしたと言うのだ!」

「1からちゃんと説明してやるよっ!……今日、俺が
何の用で此処に来たのかもよ!!」

「おじさん助けてええーーっ!ボクが殺されて
しまうよーーっ!おいっ、其所の役立たずのボケ爺っ!
み、見てないで早く何とかしないかーーっ!!
こんな時こそボクの為に働けーーっ!!」

「うるせーーこの糞野郎ーーっ!!」

「はあ、なんなの、うるさいなあ……」

騒ぎに気づき、ケイが部屋から出て食堂まで来る。

「……な、何やってんの?大事に……、それにジャミル……?
わ、何か面白そうな事になってるし!」

「お嬢様!いけません、お部屋にお戻り下さいませ!」

庭師が必死にケイを止めようとするが、ケイはつかつかと、
荒れている食堂に入って来る。

「ケイ、部屋に戻りなさい、お前は今は特別な時以外
部屋から出てはいかんと言っておるだろう、食事は後で
部屋までメイドに運ばせる、……戻りなさい!」

しかし、ケイは領主の目を見てきっぱりと拒否する。

「嫌だね!」

「……何だと……?」

「おっさんはあたしをケージ状態のハムスターとしか
見てないんだろ、そんな生活もうまっぴらだよっ!
冗談じゃねえよ!!ふざけんなよスケベ爺!!」

「ケイっ!……すぐに部屋に戻るんだっ!早くっ!!」

「あ、……あああー!お嬢様、旦那様、わ、儂は一体
どうしたら……」

此方は此方で親子喧嘩?が始まり、もう庭師にも
どうにも出来ない状態に。

「シャシャシャシャ!」

「マリアーヌ!い、いかん、お前までっ!!」

更に其処に、マリアーヌまでもが来てしまい、状況は更に
ますます大混乱……に、なるかと思われたのだが……。

「シャーーーッ!!」

「う、うわあああーーーっ!!」

「むしゃむしゃ、……ごっくん」

マリアーヌは暴れているジャミルと大事を一旦
飲み込んでしまったのであった。

……そして……、2人は漸くマリアーヌから吐き出され、
少し頭を冷やした様で大人しくなった。ケイも庭師に
説得され、仕方なしに部屋に戻って行った様である。
ジャミルと大事は領主の部屋へと移され話合いの
場所を変えた……。


「……つまり、大事が其方のアイシャ君に乱暴し、……手を
出そうとしたと……」

「そうだよっ、おっさん!」

「だから違うって言ってるじゃないか!大体、ボクは
最初、チンピラどもに囲まれていた彼女を助けようと
しただけじゃないか!」

「それが詐欺だったんじゃねえかよ!チンピラに
金渡してたのはおめえだろ!アイシャを助けた様に
見せ掛けて、てめえに気を向かせようとしたんじゃねえか!!」

「……」

領主はジャミルと大事、2人の顔を見て考え込む。
ルーゼに洗脳され、数年間、自分の性欲情本能丸出しの
危険人物と化していた領主だが、この叔父と甥っ子、
身体の中に本質的に流れる血はやはり、争えないのかも
知れなかった。

「シャシャ!」

「……マリアーヌ、お前はもういいよ、庭園に
戻っていなさい」

「シャー!」

爺ちゃんも早く来てねとばかりにマリアーヌが触手で
庭師の頭をポンポン叩き触手フリフリ、庭園に戻って行った。

「ジャミル君、確かに大事がアイシャ君に性行為目的で
乱暴しようとしたのだね、それは確かにこちらが非を
認めざるを得まい、悪かったね……」

「おじさんっ!?」

「……」

「だが、大事は本当はとても心の優しい子なんだよ、
君には分からないかも知れないがね……」

「だ、旦那様っ……!?」

「君の方も、大事に謝罪をするべきではないのかね?
歯を折る様な大怪我までさせて……、君だから穏便にみるが、
普通の者なら私は許していない処だ……」

「ああ、おじさんっ!おじさんっ!やっぱりおじさんは
ボクの味方ですねっ!」

大事が領主にすり寄る。見ていたジャミルは当然の如く……。


……ぷっ、つん……


切れた。遂に噴火モード突入。しかも今回は怒りの早口
倍速モードである。

「……いい加減にしとけっ!!おっさんも糞野郎もっ!!
大体だなっ、おっさんもそいつを甘やかし過ぎなんだっつう
事が何で解んねえんだよっ!!だからこんなどうしようもねえ
最悪の糞クズになったんじゃねえかよっ…………それにな、
今のおっさん、ケイが嫌がってんだぞ!!てめえの甥っ子
ばっかり依怙贔屓しやがってからにっ!!ケイは籠の中の
鳥じゃねえんだよっ!!」

「……君は嫌にこの子の事情を分かっている様な
口のきき方をするのだな、まあ、それはそれで
いいとして、私がケイの為に行っている事は、全て
ケイの将来の為だ、間違ってなどいないぞ、大事は大事、
あれでいいのだ、自由に生きさせてやれば……」

「おいっ!!おっさん!!」

ジャミルに事の事情を話した庭師は頭を抱えた。自分が
ジャミルに大事の件を打ち明けた事で、まさかこんな
大騒動に発展するとは思ってもいなかったのだろう。

「これ以上あんたと話したとこで無駄みてえだな……」

「ジャミルさんっ!?お、落ち着いて下され、どうか!!」

「それは此方のセリフだ、ジャミル君、我がナンダカンダ家は
今日から君達との縁を切ろう、金輪際、この屋敷には一切
近寄らないでくれたまえ……」

「そうさせて貰うよ、その方がお互いにすっきりするかんな、
……おい、くれぐれも其処の糞野郎をウチのマンションに
近づけさせんじゃねえぞ、しっかり監視しとけよ!」

「フン、口の減らないガキだ、どうしようもない、早く
行きたまえ、顔も見たくない……」

「行くよっ!、ま、糞甥の所為で、精々おエライ家柄さんが
後のち崩壊しねえ事を祈っておいてやるよ!じゃあな!」

「……」

ジャミルは領主に舌を出してドスドス屋敷を去って行く。
領主はそれを特に気にも止めず大事の方に声を掛けた。

「すまなかったな、もう彼は此処には来ないよ、又医者に
行って来なさい、小遣いをやろう……」

「そうして下さい、冗談じゃないですよっ!……でも、
おじさん、ボクは……、あの人、……アイシャさんだけは
諦めきれないっ!!」

「大事、もうお互いに奴らとは関わらないと言う約束だ、
まあ、向こうがきちんと謝罪してくれば又考えてやらない
事もないが、まあ彼の性格からして無理であろう、大事、
お前にはもっと相応しい相手は幾らでもいるのだ……」

「分りました、……おじさん、ではボクはもう今日は
休みます、疲れてしまいました……」

「うむ……」

大事は納得して部屋に戻ったかと思えば……、
そうではなかった。

「これで諦める物か、フン、ああ、アイシャさん、
ボクらはまるで……、そう、ロミオとジュリエットの様だ……、
可哀想に、待ってておくれ、必ず迎えに行くよ……」

大事はバラの花を取り出すと好き勝手な妄想を始める。
無論、アイシャは全然そんな事思ってもいないのだが……。
……もう少し、この屑馬鹿男にジャミル達は振り回される
事になる。


それでもクズは諦めない

「うそ、あの変な人が……、領主さまの甥っ子さんだったの……?」

「そうだよっ!クソ!幾ら此処は、くせー凶暴ムキムキマン
ばっかだからってよ!俺、あいつを此処に仮住まいで根性
鍛えてやろうなんてとんでもない事考えてたわっ!」

ジャミルはナンダカンダ家から帰ったのち、一連の事件を
アイシャにすべて話す。いずれは話さなければいけない事
だったので、仕方なくアイシャに話してみたものの、やはり
ショックを隠し切れず……、暫くの間言葉少なめに……。

「おい、ジャミル、誰がムキムキマンだ?」

「……いてっ!」

「言ってみな?ほーらほら!悔しかったらアンタも
筋肉付けて見ろっての!このモヤシ小僧め!!」

「いてててて!やめろっ!この、加齢臭親父とイカズ後家!!
あ、あたたたた!」

いつの間に来たのか、ジャミルの部屋にはホークとシフが。

「……ジャミ公、ちゃんと俺らにも分る様に話せ」

「説明しな!何こそこそやってんだ!」

「……分ったよ……」

ジャミルはホークとシフにも、ナンダカンダ家の今の事情、
仲違した事、そして領主の、手に負えないバカ甥の件も皆
全て話した。

「何だ、別にそのままそのクズを連れてくりゃ良かった
じゃないか、別にあたしらがいるんだから、何も心配する事
ないだろうが」

「けどよ、もしもアイシャにうっかり何かあったらと思うと……、
あんなのが同じマンション内にいりゃ、アイシャだって嫌に
決まってんだろが……」

「……」

ジャミルがそう言うと、アイシャも黙って下を向いた。

「ま、もうあの屋敷とはかかわんねんだろ?それならそれで
いいじゃねえか、なあ、アイシャ、此処にいりゃ何も心配する
こたあねえんだからさ……、お前には皆が付いてるんだ、なあ……」

「ホーク……、うん……、そうだね……」

ホークがごっつい手でアイシャの頭をぐじゃぐじゃ撫でた。
確かにマンション内にいれば安心なのだが、問題はアイシャの
外出時である。

「ジャミル、アンタが常にアイシャに付き添ってやるんだね、
特に外出時は……」

「分ってるよ……」

「何かあったらすぐに俺らに言えや、じゃな」

ホークとシフは部屋に戻って行った。ジャミルは念の為、
エレン達にもアイシャの護衛を話しておこうと思いつき
腰を上げた。……と、同時におならが出た。

「ど、何処行くの、ジャミル……」

アイシャがジャミルのパーカーの裾をぎゅっと掴んだ。とても
不安げで堪らない表情である。

「ああん?他のパワフルゴリちゃん女子共にも、お前の護衛を
頼んどこうと思ってさ、ほら、俺だってたまにはいない時あるから……、
ららら?」

「……いやっ!」

「おーい、何が嫌なんだよ……」

「やだ、ジャミルが側についていてくんなきゃ嫌なの、怖いの、
安心出来ないよ……」

「アイシャ……」

「……他の誰でも駄目なの、……ジャミルが守ってくんなきゃ、嫌……」

アイシャはジャミルにしがみ付いたまま、そのまま震えだした。

「まいったな、こりゃ……」

(……大事の野郎、俺があいつの歯を折ったの相当恨んでた
みたいだったし、いずれは此処に何かしら、仕返しに来るのは
間違いないよな……)


そして、マンションの外では……。

「はー!モフルン、新しいお花の種植えようね!春にはもっと
沢山のお花さんが咲くようにね!」

「モフーっ!植えるモフー!」

そして、クズ……、大事が近づいて来る。……はーちゃんに……。

「こんにちは、ピンクの髪の美しいお嬢さん……」

「はー?」

大事がくるっと回転し、さっとバラの花を取り出し、
はーちゃんに差し出す。

「はー!回るの上手ですねー!フィギュアスケートの
選手さんですか?」

「いや、ちょっとお聞きしたい事がありまして、この薄汚い
動物園……、こほん、此処に、アイシャさんと言う方は
いらっしゃいますでしょうか?」

(……確かに彼女も可愛いが、ガキ過ぎだ、……ボクの対象外だ、フン)

「アイシャにご用ですか、いますよー!」

「……くんくん、くんくん……」

「はー?モフルン?」

モフルンが大事の側に寄り、尻の辺りのにおいを嗅ぎだした……。

「げえっ!……な、なんだ!このおもちゃのクマはっ!!」

「……くさいモフ、ウンチのにおいがするモフ~……、
甘い匂いがしないモフ~……」

「モフルンっ!失礼だよっ!……ご、ごめんなさい……」

はーちゃんが一生懸命謝るが大事は機嫌を損ねた様子。

「……最近の玩具はっ!実に下らない機能を備えている様だねっ!
失礼にも程があるっ!!」

強ちモフルンが言った事も間違いではなく、さっき大事は
公衆便所で用を足し、よくケツを拭かないまま便所から
出て来たのであった。

「でも、酷いっ!モフルンはおもちゃじゃないよ!私たちの
とっても大切な友達だよっ!!」

思わずカチンときたはーちゃんが反論するが、大事は
馬鹿にした様に鼻を鳴らした。

「そんな中古品、大体ボクならもっといいのをあなたに
プレゼント出来ますが?そうだな、数100万はする、
最高級品のテディベアなんかどうですかね?」

「はー!そんなのいらないっ!もう帰ってよっ!!」

「おやおや、言われなくても帰りますよ、確認に
来ただけなんでね、ふふ、ちゃんと彼女がいる事も
分かりましたし、うっかり護衛で引っ越しでも
されない内に手を打っておきましょうか……」

「な、何言ってるの……?」

「モフ……」

「では、ボクはこれで、アディオス!」

大事は、はーちゃんに投げキスをすると、去って行く。
残されたはーちゃんとモフルンは唖然とそれを見つめる……。

「何か変だよ、あの人……」

「モフ、……ジャミルに言った方がいいモフ……」

「はーっ!」


はーちゃんとモフルンは急いでジャミルの部屋に駆け込む。
それこそ怒り心頭状態で。

「何?パツキンの回転する変な奴だと……?」

「はーっ!あったまきちゃう!モフルンの事、悪く言うなんて!
酷いよ!」

「はーちゃん、又無茶をして……、何かあったらすぐに私達に
言わなきゃ駄目じゃない!」

「……リコ、とにかく、はーちゃんもモフルンにも何事も
無くて良かったよ……」

みらいとリコは丁度その頃、部屋で宿題をしている
最中であった。先に宿題を片付けてしまったはーちゃん
だけが外に出て、花壇の手入れをしていた処に、あの
馬鹿大事が姿を現したのであった。

「ジャミル……、絶対、大事さんだよ、どうしよう……」

「落ち着けアイシャ……、とにかく絶対此処に居りゃ
安全なんだからよ……」

「はあ、何か凄い事になってるね、でもまあ、アイシャ、
ジャミルの言う通りだよお、此処から出なければ何も
心配する事ないんだから……、頼りにはなんないかも
知れないけど、オイラもいるよ……」

「……ダウド……」

ダウドもアイシャを慰める。皆が声を掛けてくれるのに
アイシャは少し安心した様だった……。

「そうだぜ!アイシャ!このジタンもついてるからなっ!!」

何処からともなく、ジタンもぴょこんと現れる。

「うん、みんなありがとう、大好き……、えへへ……」

友達の優しい気遣いにアイシャは涙を拭いて心から感謝した。

ジャミル達は、とにかく状況が落ち着くまでアイシャを
徹底的に護衛すれば安心だと思っていた。此処の皆も力を
貸してくれる。そう思っていた。

しかし……。

「おい、金は渡したんだからな、しっかりやれよ……」

「お任せあれ、なのねー!」

「のねー!」

「のねー!」

「……本当にちゃんと分かってんだろうな、ボクはお前らが、
あの馬鹿猿と前から因縁が有り奴らを知リ尽くしていると
いうからこそ、仕事を頼んだんだ、……お前らは常識の
一切通じない何をしでかすか分からないド変態な連中
らしいからな、ふふふ……」

……何と、大事が仕事を頼んだのは、確かに何をしでかすか
分からない、常識の一切通じない変態の連中、あの、基地害
カネネーノネ3兄弟だったのである。

「頼むぞ、何としてもアイシャをマンションから連れ出せ、
何ならマンションを爆破しようが何をしても構わない、
知ったこっちゃないさ、お前らがやる事だからな、ボクには一切
何の責任もないよ……」

「んま、随分と無責任野郎なのねー!」

「のねー!」

「のねー!」

「うるさいっ!!グダグダ言うと金を今すぐ返して
もらうからな!とっとといけっ!!」

「おーのー、金ないと困るのねー!行くのねー、子分A、B!」

「いくのねー!アニキー!」

「のねー!」

「あ、待つのね、よおーく、作戦立てないとだから、
あと2ヶ月ぐらい、もう少し待ってほしいのね」

「分ったよ、……君達の素晴らしい兄弟頭脳プレイに
期待しているよ……」

「のねー!」

褒められ?慌てて走って行く3兄弟、大事はそれをニヤニヤ
しながら笑って見ている。

「単純な奴らだ、さて、一体どんな馬鹿な惨劇を起こして
くれるのか、2か月後が楽しみだな、ふふ……」

……またまた、最悪の基地害に目を付けられてしまった
ジャミル達の運命は……。ジャミルはアイシャを大事の
手から守る事が出来るのか……。

zokuダチ エスカレート編・24

zokuダチ エスカレート編・24

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  • 小説
  • 短編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-04

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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