夢の潰える

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 光へ手を伸ばし

 足を駆り

 空を掻いた手が土を突く

 色の褪せた外套は綻び

 杜撰に投げた筆が折れた時

 手の中には何も無かった

 時計の針の往来が

 全て意味を為さないと知った

 ゆがんだ解釈の音が鳴る

 たわむれに掴んだ花だけが

 ほこりみたいに胸に澱み

 二度と追えない陰になる

 あの日咲いた輝きは

 まだ目の前に揺れているのか

夢の潰える

夢の潰える

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-26

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