セピア

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 退屈な夢がはじけて

 暮明を裂いた私はまだ白昼夢

 昨日のことが明日みたいに

 目の中を遊歩する

 現と思って殺した夢も

 夢と信じて助けた現も

 全て明日のことのよう

 きっと誰かが蔑んだ

 くすんだ色のガラスさえ

 明日は宝石箱の中

 くだらないセピアの夢

 昔のひとが遺した宝石も

 ナンセンスの中に堕ちるなら

 くだらないセピアの色



 ベッドの下に落ちた影

 缶の底の苦い夢

 本当だった昨日の記憶も

 いつか古びたがらくたになるなら

 きっとわたしはここにいない

セピア

セピア

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-26

Copyrighted
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