『幸福ごっこ』

愛してはくれない人を
追いかけてる自分が好き


『幸福ごっこ』


決定的な拒否はないまま
何となく引き伸ばした君の
最後の言葉なんて聞きたくないの
だから永遠にこのままがいい

みんなはやめておけって言うけど
どんな恋をするかはアタシ次第よ
中途半端にくれる可愛いのご褒美
それだけで生きていけるもの

日常の小さな喜びを拡大したら
綻びが出るのもあっという間
長く幸せに浸るにはぬるま湯で
横顔を見てるくらいが丁度いい

真面目に向き合って何になるの
君の曖昧さも一気に不誠実に変わる
愛されたい子は愛されればいい
それがいつまで続くのかは知らないけど

ちゃんと熱を持って追いかけてるの
冷めたらすぐに引っ込める手を
今は必死に伸ばしてるだけ
いつ終わるかもアタシが決める

もし君が不意に振り向いたなら
途端に背を向けて逃げ出すわ
だって向き合うのは怖いし
いつか来る寿命に怯えるのは嫌

生かさぬように殺さぬように
片想いの幸福を飼い殺す
共感なんて要らないから
アタシはアタシの幸福で溺れていたい



「アタシだけの幸せだから邪魔しないで」

『幸福ごっこ』

『幸福ごっこ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-20

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