『指先に残る青』
あの夏の記憶が青く
指先に残ったまま
『指先に残る青』
今は静かに抱き合うけれど
遠くの山が紅く燃えて
やっと季節が移り変ったことを知る
あんな情熱はもう過去なのね
だけど今も燃えるような貴方の目
その奥の熱を感じれば
一瞬で心は戻ってしまう
大袈裟で芝居がかった愛
自嘲気味に笑えば少し驚いて
顔を覗き込んでくるのがまた可笑しい
アタシなんてどれだけ見ても
何も変わったりしないのに
貴方はいつも静かなのに
何故その目は雄弁なの
まるでまくし立てるみたいに
情熱を隠そうともしない
それに晒される度にアタシは
自分に相応しい賞賛か迷う
その価値があるのかと
自分に問いかけてしまう
それでも降り止まぬ愛情に
胸の奥に火が灯れば後は
ただ貴方を受け止めるだけ
何度季節が巡っても変わらない
青く染まった指先を見て
思い出すことはあるけれど
今の貴方の方が好きよ
穏やかな抱擁の価値は格別
「どんな季節の貴方も目に焼き付けたい」
『指先に残る青』