『花瓶の水が枯れる前に』

まだ愛なんて信じてるの?
あんなの馬鹿げた幻想よ


『花瓶の水が枯れる前に』


どんなに希望を持ち続けても
叶わないことが前提で
でもまだあの頃を夢見てる
当然の顔をして愛してくれた日々を

アタシの中の小さな子供の心が
今も貴方を求めて泣いていて
早く抱き上げてと両手を伸ばすけど
虚しく空を切るばかりね

花はとっくに枯れてしまった
今更取り繕うつもりもないけど
それでも何かはまだ残ってる気がして
花瓶を片付けることができない

もし叩きつけて割ることができたなら
いっそその方が楽になれるのに
怖がりなアタシは思い切れずに
ジワジワと失われてく情に縋って

手を繋いで片手には風船
遊園地とソフトクリームと白雪姫
それがアタシの世界の全て
貴方が与えた夢の欠片を壊せない



「ヒビの入ったそれをいつまでも持ち続ける意味」

『花瓶の水が枯れる前に』

『花瓶の水が枯れる前に』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-16

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