仮題 シナリオ

芥川龍之介の作に「藪の中」というモノがある?

芥川竜之介の作品に「藪の中」というものがあるが・・。

芥川竜之介の作品に「藪の中」というものがあるが・・。

 久し振りに来た気がするが、銀座通りは相も変わらず洒落た街並みのまま佇(たたず)んでいる。 

 ただ、今日の今田洋二はその洒落た街が舞台の、過去の出来事や風情を回顧するために来ているのではない。
 その点、少し余裕がない。
 洋二は・・ある女性の後を付けているのだが・・女性の名は幸田(こうだ)百合子、洋二の彼女である。
 そして・・更に、其の彼女をつけている男が洋二と百合子の間に存在する・・と、記せばわかりにくいだろうか?
 いや、要は・・洋二は彼女を付けている男の後を付けている事になる。となると、洋二は二人を追っているのか、それとも・・何方(どちら)かを・・一体(いったい)・・何事?
 「・・不審な男性から追い掛けられて・・」
 と百合子が言い始めたのは先月末の事だった。
 洋二が社で仕事中に、百合子からそんな連絡が入ったのが・・そもそも。
 少し息が乱れがちな彼女の弁はこうだった。
「・・最近、私を付けてくる男がいるんだけれど・・え?気のせい?・・貴方らしい「独断と偏見に満ちた」反応ね・・相変わらず・・でも、昨晩など危うく襲われそうになったのよ・・」
 
 え?警察? まだ相談していない・・というよりも・・もう少し煮詰めないと・・ふぁ?鍋物ではない?いや、ごもっとも・・ウン。
 此処だけの話なのだが・・百合子は女優、現在収録中のサスペンスドラマの主役でもある。
 だから・・いや、彼女の申告を分析すれば・・考えようによっては「・・業界人なのだから、よくあるパターンで・・男は単なる追っかけかも知れない」。であれば・・なるべく大事(おおごと)になどすべきではない。まあ、一種の有名税?とでも・・。
 で、そのサスペンスドラマなのだが・ちょっと国際的で・・。
「UK=イギリス~の諜報員であるボンドが・・。
 はあ?知らない?ああ、無理もない・・旧いロングランの映画だから。「007」のジェームスボンド・主役のボンド役は次々に代わっているが・・ああ、初代はショーンコネリー。現在でも存在するイギリスのSecretagent(秘密諜報機関)である「MI6=えむあいしっくす」が、そのモデルとされている。
「そのボンドが名の知れた女優扮するA会社の女社長を殺害」
 という事。UKは常に正義、だとすれば・・殺された女社長が悪漢なのだろう
 それで、主役の女優が亡くなった後に専務だった百合子が社長に昇格、その事件後、百合子扮する社長を密(ひそ)かにつけ狙う影の組織による追跡劇が行われている、という筋書きのようだ。
 
 ただ・・其処からがややこしく、大筋では・・百合子が後をつけている組織の男に襲われる前に、その男が更に別の者に殺害され、百合子は危(あやう)いところで危機を脱するという事のよう。 
 従い、其の前のsceneでは、組織の男からも、後を付けられているのだが・・奇しくも・・其れに現在の状況がそっくり。
 そっくりという事がどういうことなのか、と言えば、実は「百合子は【実際に】シナリオ上は亡き者とされた「主役の女性」を殺害しようと考えているのかも知れない。


 動機は・・極めて単純・・如何なる事情かと言えば「彼女は同じ女優である女性から日頃見下(みくだ)され、怨念(おんねん)を積もらせているから・・となりそうだ。
 人気絶好調の前主役の足立久美、業界で知らない者はいない。TVに映画にと、飛ぶ鳥も落とさんばかりの勢いがある・・という人気女優。
 如何(いか)に天下を取ったとはいえ、露骨(ろこつ)に奢(おご=いばりちらさない)らないのが常なのだが、久美の自惚(うぬぼ)れは半端(はんぱ)ではなく、相当なもの。
 巷(ちまた)での噂は、目上(めうえ)に胡麻(ごま)をする一方で、目下(めした)には誰彼問わず(だれかれとわず)奢り高ぶる(おごりたかぶる)のよう。
 


 で、百合子の久美殺害計画とは・・?
 シナリオの中に、久美が諜報員のボンドに拳銃で撃たれるというシーンがあるのだが、撮影の本番では小道具係が銃(劇場用の銃)を用意する。
 

(この銃に関しては歴史がある。戦争直後には警察から拳銃を借りていたという時期もあったが、次第に刑法の銃刀法違反に抵触しないように配慮がされた。)
 プロップガンというのが其れで、撮影用の銃という意味だ。
 更に、50年後の現代になるとモデルガンやエアガンをベースに様々な改良を加えたプロップガンを使用している。
 CGによりマズルフラッシュや排莢も後加工で作り出すことは可能となっている。
 それでも撮影現場で実際に発火し排莢させている場合は多く、其の方が役者も演技し易いと思われる。
 では、肝心な銃弾はと言えば、当然ながら火を吹く様にしてある事も。
 (余談だが、安部氏の際に使用されたのは手製の銃に手製の銃弾だと言われている。)
 


 百合子が使用したのはモデルガン的なプロップガンの筈なのだが、どういう訳かほぼ殺傷能力のある拳銃とすり替えられていた。
 小道具係も久美から小馬鹿にされていたせいか、普段から久美に対し良くない感情を抱いていた。
 だが、小道具係は百合子とは同じ職場のよしみ程度で親しくしている。
 そうでないとすれば・・小道具係がトイレに行った際に何者かが本物と偽物をすり替える事も。
 事が起きてから警察の捜査が始まったが、捜査陣の一部からは、小道具係のミスと指摘されたりもした。
 ミスにしても事故にしても小道具係は疑われる。例え逮捕されたにしても、百合子には無関係。
 犯行現場には誰も目撃者はおらず、小道具係と百合子とが特別な関係などと言う証拠もない。
 本物の銃弾を手に入れる事など・・?
 では、百合子は既に其れを手に入れていた?
 かなり昔の事だが映画のロケの際に実弾を使用したシーンがあった。
 其れは合間に挿入するシーンで、当事者とは関係の無い場で取られるシーン、例えば、戦争映画に、実際の艦船の砲撃などを取っておき、映画の一部として採用するのと同じ。
 其の時のモノがどういうわけか、役者に渡った事になるのか・・。
 6発用のリボルバー。
 其の時には、プロップガンばかりが使用されていただけで、まさか本物だと気が付いた者などいる筈も無い。
 ただ、かなり派手な戦闘シーンで拳銃や自動小銃などの各種武器が使用されてはいた。
 

 
 
 
 カメラを回す中、ドラマは脚本通りに行われている。
 久美を銃撃する役者扮する諜報員はまさか実弾が一発仕込まれているとは知らずに、脚本通りに久美を撃った。
 最初の一発目の銃弾が久美の心臓を貫き息の根を止めた。
 その場は大騒ぎをとなり、救急車及び警察が呼ばれる。其れから後は百合子の筋書き通りになった。
 百合子には聊かの嫌疑も掛けられず、難なく役柄上の社長となり主役の座を手に入れた。
 其れで、全ては順調に事が進む事になる。誰も、百合子の目論見(もくろみ)を知るものなどいない。
 只、カメラはその後も百合子を追う影の組織を・・。あろうことか・・百合子を追う組織の男は更に別の男から殺害され百合子に危難は降りかからない。
 
 
 撮影上は其れで何も無かったのだが、現在・・洋二は百合子から何者かにつけ狙われているとの連絡があり其の得体の知れぬ男の後を追っている。
 電信柱の街灯の薄明りに、百合子・男・洋二と続いて順次照らされる様に通過した時・・。
 男が、百合子に飛び掛かろうとした。
 洋二は、百合子に飛び掛かった男を取り押さえようと・・。
 男は洋二を振り払らうと、上着の中から銃を取り出した。
 そして、洋二が怯(ひる)んだすきに、百合子を目掛け銃を発射・・。
 百合子の命は最早風前の灯・・と洋二は、思う・・。
 



 ところが、男の拳銃から聞こえたのは、引き金を引く際のかすかな音・・弾は・・?
 命拾いをしたとの・・百合子、安堵の表情・・。
 洋二はこんどこそと・・男があてが外れ愕然としている隙に、男に飛び掛かり揉み合いとなる。
 男の拳銃を握っていた手を捻るように・・拳銃を奪い取ろうとした。
 心配はない・・弾が入っていない拳銃・・。




 二人の手が縺(もつ)れ・・引き金に手が・・。




 大きな音と共に拳銃から発射された弾は男を撃ち抜いた。
 眼(まなこ)を大きくして驚く百合子。倒れている男の傍らに呆然として立ち尽くす洋二。



 百合子は、彼女に駆け寄った洋二が持っていた拳銃には・・見覚えがある様な気もしない事は無いが・・。
「・・あの銃・・最初の一発・・残りは五発・・」



 男は病院に運ばれてから息を引き取った。
 通報で駆け付けた警察官が洋二を逮捕。しかし、後日、逃げた男ともみ合いになり・・との経緯と証言から未必の故意(故意とみなされる・・当たるかどうかわからないが・・撃ってみよう・・などの例え。)すら適用されず・・故意でもなければ・・過失と断定も難しい状況で人命救助・・殺意はなく無実・無過失・と判断された。
 




 スタジオではディレクターがもう一度脚本を見直している。
 脚本では男は組織の男、となっている。
 が、脚本を書いたのはどの御仁・・?
 おかしな事に・・誰も知らない?其れに組織とは・・何の事?



 まあ、シナリオライターが誰なのかが永遠に謎のままなのだから。
 一つだけ言える事・・正に・・作者不詳シナリオ(脚本)通りになった・・。



 ああ・・相当・・腕の立つシナリオライター・・に相違ない・・。


 存在していれば・・。

仮題 シナリオ

仮題 シナリオ

人類のいなす事・・藪の中は・・半分・・。 一例で「公明党の政教分離の問題は・・最高裁判決で憲法違反ではないとしたが・・果たして・・明らかに党の支持団体は・・等勝者は信者である・・」最高裁の判事の判決だからと言い・・正しいとは限らないということ・・しかし、結果は「一事不再理」二度と同じ事では争えないまま・・地獄迄ご同伴・・。 違法性阻却事由というモノがある・・例えはあり得ない事だが「天皇が立小便をしたとし・・軽犯罪法等には至らない」「恩赦とは?」「死刑執行後蘇生をすれば無罪?死刑廃止は?」「風邪薬で薬事法改正・セクハラ・パワハラ・カスハラ・何?」・・人体は人類が作ったものか?否・・であれば・・医学も薬学も・・必ずしも宛にはならない・・兎に角・・自らが如何にして誕生をしたのか?は永遠に仮説のままであるが・・。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted