机上の空論⒈

あぁ...考えづらい
何事にも論理を用いる。
意味もないのに。

美術部の先輩に持ちかけられるひとつの謎論理

とある学校の美術部、
寒い冬の中
まだ少し甘い香りがする。

この美術部には
女子部員2人しかいない。
しかし無くならない。

なんたって彼女らは
美術部あってこそ集まれる。
ここは秘密の集会場なのだから。


...」って形で
進めませんか?」

2人は今廃部に困っている。
当然今のも嘘の話。

この美術部は、ただいま
廃部危機なのである。

「そうだ!あんたの
謎理論で押し切れない?」

唐突に謎めいた考えで
意味がわからないこの人は
私の先輩。

慕ってはいるが時々おかしい。
だから私も
「というか謎論理って
何です!まるで机上の空論
とでも言いたいのですか?」
と返してしまった。
私の考えをこうも言われると
少し頭にきた。
だから今少し廊下に見えた
廃部決定を進める先生が
見えていたのて、私の謎理論、

「幸福量」
について私は語り始めた。

「まず初めに、
私は言いますがこれは!
机上の空論ではなく、
私の事実論理です。
では最新作を1つ
ここで話しましょう。
先輩にとって幸福とは
なんでしょうか?」

「そりゃ...まぁたしかに
今一度言われるとなぁ...」

「私だったら幸福はいわば
薬物だと思います。」

「はぁ...また、
訳わかんないことを...」

「では実際、幸福は良いことを
もたらしているとでも思って?」

「そりゃそうだろ!幸福って
幸せで福だろ?最高じゃないか」

「でも私はそう思いません。
この社会でもそうですが、
幸福を結局求め始めてしまう
っていう人が一定数でると
結果として誰かは代わりに
不幸にならなければなりません。
建物を建てる土地が欲しいと
なれば森を削り、自然が消え
意見が通って欲しいと自分勝手に
進めていってしまうと、
来る未来は戦争です。
最大多数の最大幸福という
考えがありますが最大多数の中に
どれだけ入れていない人がいるか
どれだけの人が不幸になっているか
そんなこと考えていたらやっぱ
幸福を求めること自体が
とっても無意味なのではないか。
と私は考えてしまって...」

先輩の顔を伺うと眠そうだった。
私は着ていたジャージをかけて
ゆっくりと寝させた。

そうこうしていると
先生が教室を覗いて来そうなので
絵のモデルにしているていで
私は鉛筆を握った。

急いで私は手を走らせ
先輩を描いた。


「やってるかい?部活」

「はい!先生、今先輩を
描いていて...」
やばい、すっかり急いで感覚で
描いたせいで少し...というか
盛大に盛ってしまった...


「あの...すいませ..」

「いい絵じゃないか。」
パッと先生が笑顔になった。

教室の静けさとは相反に
先輩をキラキラと
目立たせるように
この絵のコンセプトなど
全くもってないのだが...

素っ気ない先生の一言に
私は驚いてしまった。
「あ...ありがとうございます。」

「いいさ、ここは廃部にはしない。
私が美術部担当だ。」

そう言って美術部部員の下に
教員の担当サインが押されていた。

「えぇ!」
私は反動で先生の手を握って
飛ぶこともできないジャンプで

盛大にはしゃいだ。
私は今、最大に幸福だ。


職員室に帰ると皆から言われた。
美術部の担当をするんですか?
あの部活はもう廃部でいいですよ?
なくていいですよ、部員2人ですし。

私は廊下で歩いている時の2人、
あの2人の何の気なしに話して、
彼女たちの大切な空間だと感じた。

教師の立場上、できるのはここまで。


果たして...2人は幸せかな?

机上の空論⒈

えーと、
机上の空論とはね
意味無いことなんだよ?
なんでこの空っぽの文章を
ここまで読んだの?

机上の空論⒈

論理的に考えて意味の無い時間を過ごすでしょう。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-12

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