恋をする友人に送る詩

「上下左右」
年上で
年収もはるかに上で
学歴も高い
人生経験も
付き合った人の人数も
ほとんどが君のほうが多い
周りは格差が、なんて言うけど
格差、って言葉はそれを使った瞬間から
2人の間に生まれる。
そして優しい君はそれを気にする
僕も気にするんじゃないかって。
君に間違っているとこなんて
ないけど、その考えだけは
間違っているよ
何でも優れているように見える君が
僕にだけ見せる顔があるって知ってしまったら
好きにならずにいられない
僕が君を思う気持ち
好きの度合い
それだけは僕の方が上だと言わせて
でも、それ以外はどちらかのあとをついていくのではなく
僕らは並んで歩こう
ふたりで歩いていく道
ふたりで見る景色
見下ろすことも見下ろされることもない
だからこそいい。
忘れないで。
いつもそばに、となりにいるよ


「温度差」
最近は真冬でも雪が降らなくなった。
気候は変動するのに
僕らの関係は昔から変わらない
気候は何千年もかけて
変動していくから
僕らの関係ももっと時間をかけて変わっていくのかな
ある真冬の凍てつく夜
君の髪が冷たい
その冷たさの理由は分かってる
あの人はまた君の髪に霜が降っても君のもとには来ないんだね
君の目元が光って
鼻先が赤いのは
寒さのせいだけではないことも知っている
どうしてあの人なの
どうして僕じゃないの
氷柱になりそうな厳寒の日も
溶けそうな酷暑の日も
君はあの人を待つ
そんなの流行らないよ、報われないよ
何度も言った
僕を見てとも伝えたけれど
君は優しく首を横に振る
頑固で、一本気で、
君を思う僕よりも、君を一番に思わないあの人を慕い続ける
そんな君を好きで居続ける僕ははたから見たら不幸せだろうか
珍しく雪が舞っている
君の隣にいて君の冷たい髪を撫でる
不幸せな僕のささやかな幸せな時間

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-11

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