手遅れの朝

朝になれば何とかなっているだろう
という楽観論は敢えなく裏切られ
朝になった時にはもう手遅れになっている。
なぜもっとこうなる前に手を尽くさなかったのか
なぜもっと緊迫感を、焦燥感をもって
眼前の問題を一つずつ処理しなかったのか
悔やまれて仕方ない。やりきれない。
もっと事前に予期して最善を尽くせばよかった
そんなことを思っても後の祭り。
朝になった時にはもう手遅れになっている。
それは決定的な朝。何もかも決定し覆せない朝。
敗北の朝。もう何も取り返せない朝。喪失の朝。
日の出が嘲笑のように現れる。
俺の恥を世界に晒そうとするかのように照らし出す。
俺はこうなってしまったことを悔やみに悔やむ。
もう二度と同じ轍は踏むまいと心に強く誓う。
しかし轍以前に道が目の前に現れることはなく
朝になった時にはもう手遅れになっている。

手遅れの朝

手遅れの朝

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-10-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted