迷う他無い

ある日、男は広い迷宮をさまよっていた。 


レンガ作りの壁が続き、上を見上げれば森の様な天井が彼を見下ろしている。
迷宮をさまよう中、他にも迷宮をさまよっている人はいた。

男は歩いても歩いても出口が見つからない迷路にただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

ある時、男は人に迷路の出口はどこにあるのか訪ねてみた。

だが、「そんなもの、私にもわからない。自分で見つけろ。」
と言われただけだった。

男は迷宮をさまよう中、一つ佇む小屋を見つけた。
男は小屋に入り、そこでハンマーを見つけた。

その途端、「何をしてるんだ」とその小屋の主であろう大きな男に声をかけられた。
彼は勇気を出し、「このハンマーを僕にくれませんか?」と男に訪ねた。
すると大男は「一日、この小屋で働け。そしたらこのハンマーをやる。」と言った。

男は一日小屋で力仕事や色々な事を手伝った。

大男はハンマーを渡してくれた。

彼はそのハンマーでレンガ作りの壁を叩いて壊そうとした。

叩いても叩いても中々壊れなかった壁が崩れだした。

だが、その奥から光は出なかった。

土に覆われ出口を作り出す事が出来なかった。

次に男はスコップを探し始めた。

迷宮を歩いていくと、高い屋根の家にたどり着いた。

男はそこを訪ね、「スコップを貸してくれませんか?」と訪ねた。
すると高い屋根の家の主は、「そのハンマーと交換してくれたらこのスコップをやる。」と言った。

男はハンマーと交換してスコップを手に入れた。

男はまた叩き壊した壁に戻り、スコップで土を掘り始めた。

けれど掘っても掘っても光は見えてこなかった。

男は段々疲れてきて座り込んだ。

すると、女性の二人組が彼を横切った。

彼はなんとなく女性達について行った。


すると、迷宮の出口が見つかった。

男はホッとして、出口に向かおうとした。

だが、さっきのせっかく苦労して作った自分の出口の穴を思い出した。

男はまた、さっきの自分で作った出口に戻り、また出口を掘り出した。



一筋の、小さな光が男を照らした。

迷う他無い

出口が無いなら、作っちゃえば良いじゃない!

読んでくださりありがとうございました。

迷う他無い

迷路が出てくるお話です。 少しだけ、おつき合いください。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-30

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