鉄板焼き
鉄板焼きの魔力については圧巻しかありません。
鉄板の上に黒毛和牛とお野菜を乗せるファンタスティックな願い。
これから人生良いことしか起こらないと確信できる予感がした。
まず黒毛和牛を鉄板に乗せて、ジュージューという高音のせせらぎを耳にして、自ずと脳内にエンドルフィンがふき出て夢の情景しか浮かんでこない。
美味そうな食欲の嵐がふき荒ぶり、本能の炎に着火する血と汗の情熱。
赤味の美しい色合いがこんがりと焼けて黒く変わっていく、主題と変奏の変移の優美さ。
音を立てて焼き上がっていく、ほのかに立ち昇る独特な香ばしい牛肉の余韻。
ほんのりと焼けて黒色の美味しそうな色彩を描き、柔らかな弾力性を発情させる。
箸で転がし肉に焦げ目をつけて肉の旨みを引き出していく。
旨みが肉汁となって溢れ出し、粘着質な液が滴り落ちる。
白い煙が上がり、ふわーっと立ち上がるお肉の豊満な色気。
肉を箸でひっくり返し焼き加減を調節し焦げ目が絶妙に広がり、全体に旨みのオアシスが広がる。
生きているようなボリューミーでふくよかな旨みの肉質に見惚れてしまう。
よだれが出て頭の中が美味しいで一杯になった。
肉が一番美味しい焼き加減で私を誘惑しています。
箸で掴むと弾力があり、伸び縮みする肉質にミステリアスでぞくぞくと色気を感じる。
口の中に入れた時、脂の乗った旨みの凝縮が無限に遠くへと滑走していく。
快感が連鎖反応を起こしてチャッカしていく、美味しい感覚の狂喜乱舞。
旨みの中にゆっくりと深く沈んでいく解脱感。
身も心も奪い取られて、抜け殻となった解脱感。
ああ、旨みが体の中に浸透していく喜び。
人生の快楽主義に耽る喜びに痺れて麻痺したリミッター。
お肉の旨みの中枢へと、身を粉にして喜びにふけていく。
そして噛めば噛むほどに、脂の乗った旨みがぞくぞくと身をよじらせる。
歓喜の波がとめどなく押し寄せてくる。
元気になる私の心身は大きく両手を広げて万歳三唱した。
天才の機転を利かせた発想の閃きが、無限大に打ち出の小槌のように溢れ出していく。
また肉を箸でつまみ口の中に入れて噛み、旨みの中に忘我する人生の頂点。
この世の中で諸行無常の刹那に、今この時だけを極上の旨みの凄絶さだけを感じていたい。
生きて労働してご褒美がないと私は生きていけません。
そして白い湯気が上がったご飯を頬張ってみる。
ああ、白いご飯と肉が絶妙に絡み合い一つの確立された宇宙が完成した。
人生の到達点の頂きで夢だけを見つめて、お肉を命を懸けて味わい尽くす。
この高鳴る気のボルテージで事に挑めば、全ての夢は叶うのです。
さあ、やる気、やる気。やる気を出していきます。
鉄板焼き