Dear mire,From maia
春がつくられた、その翌日、君は生まれた。
深い、深い、沼のほとりに。
水底に咲くという、一輪の花は、君がその名前を思い出すのを、いまかいまかと待ちわびている。
「心と身体は変わりゆくもの」
時々、自分の温もりさえうっとおしくなるほど、何もかもが嫌になる。
僕は君に光を見て、君は影ごと受け入れた。
「心と身体は変わりゆくもの」
同じように、この沼地にも秋がきた。
緑の涙であふれた庭。
僕の顔はまるっきり透明で、その言葉一つで水面のように揺れる。
君が僕に見せてくれた、言葉にできない自分自身は、ぐちゃぐちゃで、ぼろぼろで、迷子で。でもとても正直で、愛おしい。
もう、飲み干せないほどに、緑の涙であふれた庭。
間違い探し、最後の一つまで溶け込んで、二度と見つけられないみたい。
僕の顔はまるっきり透明で、けれども悲しい時は思い出してほしい。
春がつくられた、その翌日、君は生まれた。
深い、深い、沼のほとりに。
緑あふれる季節が過ぎ、この沼地にも秋がきた。
ふたりはまるで川の流れで、いつか海を象るけれど、しばらくは実った言葉を食んで過ごす。
深い深い沼の底に、人知れず咲いていた、一輪の花が枯れた時、君はとうとう思い出す。
私の本当の名前を。
Dear mire,From maia