zoku勇者 ドラクエⅨ編 終
これにてⅨ編も終了です。長い間此処まで読んで頂き誠に有り難うございました。
星空の守り人
長きに渡る悲しき戦いは幕を閉じた。……そして、それぞれに
旅立ちの時は訪れる……。ジャミル達4人にも、大切な皆と本当の
別れの時を迎える事に……。
「……あ、俺の翼が消えてく……、そうか……、そうだよな……、
今までありがとな……、これで、本当に……」
「僕のもだ……、翼が光の欠片に変わっていくよ……」
「ええ、でも、もうこれで終わったんですもの……」
「うん、けど、……何か寂しいよお~……」
「はあ、何時までもだな、オメーにんなモン生えてたら、何時又、
今度は何所まで……、地の果てまで逃げられるかもしんねーし
溜まったモンじゃねーっての!」
「……何だよお!バカジャミルっ!」
「どうして私の方も見てるのよっ!アルも何っ、その顔っ!」
「プッ……、い、いや失礼……」
「ハハハハ!」
「ふふっ……、あ、私、笑ってる……、こんなに心から笑ったの……、
本当に何百年ぶりかしら、ね、エルギオス……、思い出すわ、あの時……、
初めてあなたと出会った日の事……」
「そうだな……」
「……エルギオス……」
「ラテーナ……」
じゃれ合う4人組を見、笑うイザヤール、ラテーナとエルギオス。
2人はお互いの顔を見つめ合い、そっと手を取り合い、握る……。
ちなみに、アルベルト達は翼が消え、元に戻ってもまだ、ラテーナ達の
姿は見えている。これで本当に戦いは終わりを告げた。だが、喜んで
ばかりもいられなかった……。
「モン、……爺さんは……?」
「モォ~ン、……うん……」
「おじーちゃん、今、眠ったとこだよ、ほら、やっと……、
優しい顔してさ……」
「……」
「爺さん……、有難う、爺さんやモン、皆のお陰で俺達、
戦いに勝てたよ……」
眠る長老マポレーナの側に並び、見守るモンとサンディ、仲間の
マポレーナ達……。悲しみの中、沈黙が流れる……。ジャミル達
4人も側に寄り、長老マポレーナへ、静かに祈りを捧げた……。
「……済まぬ、マポレーナ達よ、至らぬこの私、自らが起こした
非道の行いの所為で……、罪もなき皆までこの争いに巻き込んで
しまった事、これも私の永遠に消えぬ罪だ、永久に許される
事では無い……」
「……エルギオス……、同じよ、私達人間があなたに行った
行為、決して消えないわ、あなたの苦しみは私も一緒、私も
全てを償うわ……」
「師匠……、私も同様です、天界を裏切り、仲間、そして此処にいる
ジャミル達を傷つけてしまった事、このイザヤール、死して尚、魂の
身になろうともどんな罪も罰も背負う覚悟です……」
「有難う、ラテーナ、イザヤール……、君達が側にいてくれる事に
感謝する……」
エルギオス達はそれぞれ、自分達の罪と罰を引き受け、心から償う
覚悟をした。だが、大切な長老を失ったモンは……。
「ううん、戦いに参加した事、長老は決して後悔なんかしてない
モン、……だから、エルギオスももう謝らないで……、それに……」
「ウシャシャー!よく眠ったモンー!」
「……うわ!」
幽霊となった、長老マポレーナ復活。魂が自分の身体から離れ、
リズミカルにぴょんぴょん、ぴょこぴょこ飛んで跳ねてはしゃぎ
始めた……。
「♪ウッシャウッシャー!ウギャギャのギャー!ほっ、ほっ!」
「長老、死んでもあの通り元気モン……、ジャミル、皆、ご心配
お掛けしましたモン……」
「……あのな……」
「や、や~っぱ、スーパーデブ座布団の親戚だよネ、も~心配して
ソンしたっ!」
……葬式モード一転。しかも、生前よりも身体が動くそうで、幽体に
なりやたらと元気そうである……。
「生きている時よりも身体が動くわい、見ろ、このジャンプ力、
ウシャシャのシャーー!よし、皆の者、久しぶりに行くゾー!
それっ!」
「「ブゥゥーーーっ!!」」
「「ウシャシャのシャーー!!」」
マポレーナ達もカオス顔で大口を開け、大合唱……。ついでに屁も
放いた……。本当にカオス集団の固まりであった……。
「お、おならするのってモンだけじゃなかったんだあーーっ!
……う、うっ、ああーーっ!?」
「ダウド、オイラの頭いっぱい叩いていいって言ったモン、だから
久しぶりに叩くモン!……ちゃ~んと聞いてたモン!」
「……あ、あれは……、だからね……、オウっ!?」
モン、定位置のダウドの頭に飛び乗り、太鼓を叩く準備を始める……。
「もう~、モンちゃんには、ホント最後まで叶わないわね!」
「自分で言った事だからね、ちゃんと最後まで責任持ちなよ……」
「ほれ、これ忘れんなよッ!思いっきり叩いてやれ!」
「ジャミル、ありがとモンー!」
「!!あ、あ~!何て事すんのさっ!バカジャミルううーーっ!
うわあーーっ!!」
……ジャミルはモンにうんち棒を渡すとニヤッと笑い、ダウドに
向かってペロっと舌を出した。
「♪ぽ~こぽこ、ちんちんぽこぽこちんぽこモォォ~ン!!
……ちん、ぽこぽこーー!!……ちんぽーこぽここォォォ
ーー!!ウギャウシャァァァーー!!」
「……(゚Д゚)」
「ああーーッ!!ラ、ラテーナさんのいる前でェェーーっ!!
勘弁してええーーっ!!」
エルギオスもラテーナも、最初は(゚Д゚)状態だった……。一体何が
起きているのか理解出来ず……。モンちゃんもいっぱい悲しい思いを
したんだし、頑張ってくれたんだもの、最後ぐらい……、と、
思っていたアイシャもやはり赤面状態である……。しかも、今回は
異様に熱いビートのカオス顔で太鼓のリズムが激しい……。
アルベルトはその場から、僕、関係無いですからとばかりに
自分だけ逃走しようとしたが、黒い顔のジャミルに肩をしっかり
掴まれた。いつもと逆……。
「ちんぽこ、シャー♡」
「……おじーちゃんもッ!マネしなくていいってのッ!」
「ほっほ、ちんぽこちんぽこー!ウギャギャ!」
「あうち……」
サンディは頭を抱える。長老まで……、モンの悪乗りが移ったらしい……。
「何だあれは、全く、やはりモンはどう見てもお前に似たのだな、
私が教育してやらねばなるまい、どうもこれでは心配で来世に
旅立てん……、やれやれ……」
「んだよっ!うるせーなっ、アンタこそいい加減に増毛すれば?
……あぎゃあーー!!」
「その口の悪さも全然治っていない様だ、お前達、しっかり
こいつを教育してやってくれ、頼むぞ……、これでは心配して
落ち落ち死んでいられん……」
「うるさいっ!このハ……ぐぎゃあーーーっ!!」
「「はああ~……」」
拳と拳でジャミ公の頭を挟み、グリグリするイザヤール……。
アホな光景にアルベルト達は溜息を付き、……申し訳ない
ですとばかりにイザヤールに頭を下げるのであった。
「ク、ククク……、はははは!」
「あはははは!」
エルギオスとラテーナも思わず笑い出す。これまで、笑顔を
忘れていた2人に本当に幸せが戻って来た。エルギオスは
ラテーナの肩を抱き、側へとしっかり引き寄せるのだった……。
「あ、エルギオスさん、ラテーナさん、2人とも身体が
光ってるよお……」
「本当だわ……、もしかして……」
「……どうやら、私達に旅立ちの時が来た様だ……、
ラテーナ……」
「はい……」
「私もの様だ……、ウォルロ村の守護天使ジャミル、そして仲間達、
これで本当にさよならの様だな……」
「ウシャ、……儂もじゃ……」
「皆……」
それはイザヤール、マポレーナの長老も同じだった。来世への
新しき世界への旅立ち、……別れの時が近づいて来ていた……。
「……さようなら、ジャミル、アルベルト、アイシャ、ダウド、
モン……、こうして再びラテーナとイザヤールに巡り逢えたのも
皆のお陰、君達には本当に感謝しか無い……、平和な世界を
取り戻してくれて、有難う……」
「エルギオス、ラテーナ……、あんたらこそ、今度こそ幸せに
生まれ変われよ、絶対だぞ!」
「ジャミル……、皆さん、今まで本当に有難う……、お元気で!」
「それから……、イザヤール……、天使界の皆にも、ちゃんと
あんたの事、伝えておくから、心配しなくていいよ……」
「うむ、オムイ様や皆の事、これからも宜しく頼む、ウォルロ村の
守護天使ジャミルよ、お前は私の最高の愛弟子だ、元気でな……」
「だからなあ~、その言い方よせって……、……」
「「……じいい~……」」
気が付くと、側で、アルベルト、ダウド、アイシャがワクワク
しながらジャミルの方を見ている。カオス顔のモンも……。
ジャミ公は滝汗が出て来た……。
「え~と、……と、……、ボソ、……し、師匠……」
「何だ?もっと大きな声で言え、聞こえんぞ、いつもの
お前らしくないな……」
「!!な、何でもねえよっ!イザヤール、今まで本当にありがとな!」
「さようなら、イザヤールさん……、あなたがエルギオスさん達と
共に素晴らしい来世を迎えられます様、僕達一同、心よりお祈りして
おります……」
「あなたの事、ずっと忘れないわ……」
「イザヤール、さようなら、モン……」
「……これからも、あの不毛のどうしようもないアホ弟子は、
オイラ達がおりますので、心配いら……、あだだだっ!何だ
よおーー!!」
再び始まるバカ2人の取っ組み合いのケンカ……。イザヤールは
首を傾げ、本当に大丈夫なのだろうかと、心配になってくるの
だった……。だが、素早く、久々にアルベルトがスリッパ乱舞で
成敗し、途端にバカコンビは大人しくなった。
「あはは、お見苦しい処を……、あはは、ははは!」
「……そ、そうか、アルベルト、君がいてくれれば本当に
頼もしいな……」
「……うるさいーーっ!」
「……だよおおーーっ!!」
「もうっ、やっぱアンタら揃って一度ナイアガラの滝に墜ちて
頭冷やしてくればッ!?」
「もう~、本当に恥ずかしいわあ~……」
と、まあ、呆れるサンディとアイシャの女子コンビ同士。ジャミ公と
ダウドは揃って同じ顔になり、膨れてブンむくれた。全然違う性格でも、
やはりこの2人は何処かそっくりだった……。
「では、儂もそろそろ行くとするか、わしゃ今度は何に
生まれ変わるのかな、シャ、そうじゃの、……ヒグマも
ええのう、ウシャシャ!そうじゃ、わしゃヒグマになるぞ、
きーめたっ!」
「ク、クマ……?ヒグマ……?」
「モン~?」
ジャミルとモン達は揃って此方も首を傾げた。どうやら、長老
マポレーナは新しい来世はヒグマに生まれ変わりたいらしいが……。
「そうウシャ、ヒグマに生まれ変わってバルタン星人をやっつける
ウシャ!シャシャ!」
「……あのなあ、ヒグマじゃ多分バルタン星人は倒せねえだろ……」
「モ、モンっ!長老、モンも皆も応援してるモン、頑張ってね!
……ジャミルっ、コラシャーー!」
「……おおうっ!?」
「「ウシャシャーー!」」
モンは慌ててジャミルにカオス顔を向ける……。モンもマポレーナ
集団も、長老の新しい旅立ちを応援したいんである。だが、一体
何故ヒグマなのか、本心は訳分からんであるが。ま、いいかと、
ジャミルは頭を掻いた……。
「みんなにも応援してもろてわしゃ嬉しいウシャ、よっ、ほっ、
ウシャシャ!きゃっきゃ!」
「……可愛い……」
長老マポレーナは又ぽいんぽいん、ジャンプし始めると、
すっ飛び上がり、プップと屁……。その後、コロコロ地面を
転がる。亡くなって幽霊になってから、長老は悲観する
どころか、返って性格が幼児化、元気になりお茶目に
なって来ている。自由な事も出来る様になり、こうして、
ジャミル達とも普通に言葉を交わせる様になった。
アイシャはそんな長老を見ていて、溜まらず愛おしくなり、
思わずハグギュウしたくなるのだった……。
「おお、そーじゃ、モン、ちょっとこっちにおいで、ウシャウシャ!」
「なあに?モンにお話モン?」
「お?何だ何だ?内緒話かい?」
「そーじゃ、モンだけにおはなシャ、ウシャシャー!」
「はいはいモン!」
長老マポレーナはモンだけを少しだけ距離を離して、何か話を
伝えている。数秒後……。
「ウシャ!」
「モン~、シャ~……、分かったモン……」
たったそれだけで、モンと長老は戻って来た。おいおいおい……、
と思うジャミ公。だが、モンの表情が複雑そうなのが何となく
気になっていた……。
「……それでは、本当に時間の様だ、行こう、ラテーナ、イザヤール、
そして、マポレーナの長老よ、共に新しい未来を切り開こう……、
さらば、ジャミル、皆の者よ……!」
「……さようなら、また来世でもあなた達と巡り会いたいわ、その時は
どうか宜しくね!」
「又……、何時か何処かで逢おう、ウォルロ村の守護天使ジャミル、
そして、英雄達よ!」
「ウシャウシャー!さらばじゃー、モン、後の事は……、仲間の事を
頼むぞー!」
「本当に本当にありがとなー!」
「「さようならーー!!」」
「まったネーーっ!」
「モン……、ばいばいーっ!!」
「「ウシャーー!!」」
……ありがとう……
やがて、エルギオスの達の姿が見えなくなる。皆、迷う事無く、
完全に昇天し、それぞれの新しい未来へと旅立って行ったの
だった……。消えて行く皆の姿を見送りながらジャミル達は願う。
平和な世界に転生して、エルギオスやラテーナ達が例え離れ
ばなれになったとしても、運命で結ばれ、そして何時か又
巡り会い、心から幸せに暮らせる様にと……。
「……行っちゃったネ、エルキモす……、じゃ、もうなかったね、
……うん、今度こそ、これでアタシらもガイセンなんだネ……、
……」
其所まで言い、サンディは言葉を止める……。
「モォ~ン……、あのね、ジャミル……」
「ん?モン、どうした?」
「……モン……」
モンの表情も何となく浮かない様である。長老が消える前に
呼ばれた後、どうもあれから様子がおかしかった。悲しい戦いは
確かに幕を閉じた。だが、エルギオス達との別れ、そして……、
更に皆を大きな別れが待ち受けていた……。
「モン、お前……、やっぱ様子がおかしいな、どうしたんだ?」
「えーと、モン……、その……、あのね……」
「そろそろお腹でも空いたんじゃネ?ま、スーパーデブ座布団
らしいケドっ!」
「そ、そうか……、そうだよな、俺も実はそうなんだ!
ウシャシャ!」
「……黒イモ虫のアホ、ジャミル、何マネしてるモン……、
ウシャ……、モンは、モンは……、……?」
ジャミルとモンの会話に、アルベルト達も気づき、心配そうに
側に寄る。モンは何故か皆の顔をじーっと見ていた……。
ジャミ公はサンディに同調し、モンの様子がおかしいのは
腹が減った所為だと勝手に思い込んでいた。モンが言葉を
発しようとした、その時……。
「ウシャ?流れ星モン?」
「あれれ?これって……」
「……天空から……、沢山の流星が今、僕達のいる場所に
降り注いでいる……」
「見て、皆っ!」
暗かった絶望の魔宮に天から無数の流星が降り注ぎ、周囲を照らす。
溢れんばかりの流星群はこれまで闇で覆われていた地上へも
降り注いでいる物と思われた……。そして、絶望から完全に
希望を取り戻し、あの時と同じ……、元の姿の神の国へと
戻ったのだった。
「スゲえ~……、こ、これで、俺達……」
「そうよ!私達、これで完全にこの世界を救ったのよ!」
「「やったああーーっ!!」」
悲しき天使達の魂を救い、そして、漸くこの世界に平和と光を
取り戻せたのだと。4人組はそう心から実感し、はしゃぎあった。
ジャミル達が喜んでいる中……。やはり、モンは……。
「……」
「お?どうした、モン!お前も喜べよ、前にちょっと言ってただろ、
ほら、これから又、少し落ち着いたらリッカの宿屋へ押し掛けて
どんちゃんパーティだぞっ!ほれほれっ!」
「カナトの料理もいっぱい食べれるんだよお!あー、ご馳走
楽しみだなあ!」
「モ、モォォ~ン……」
「ま、また君達は……、余り調子に乗らないんだよっ、勝手に
押し掛けたら又、レナさんの機嫌が悪くな……」
「ちっともよくないんだモンっ!!」
「モン……?」
「モンちゃん……」
皆がお祭り騒ぎの中、ジャミ公同じく一騒ぎしそうなモンが……。
やはりモンは機嫌が悪かった。いつもと明らかに様子が違っていた……。
「……モォォーーンっ!!」
「スーパーデブ座布団……」
「モンちゃんっ!?」
……モン、遂に泣き出し、アイシャの胸の中へ……。顔を埋める……。
アイシャは優しくモンを撫でながら訳を尋ねるのだが……。
「モンちゃん、泣かないで……、ね?私もジャミルもアルも
ダウドもサンディも、皆いるよ?だから……、ちゃんとお話して、
お願い……」
「モン、えーと、あの、その……、ほら、もう少しでご飯一杯
食べられるからさあ~……」
「ブ、ブーーッ!」
「……うわーーっ!な、何でオイラにはおならなわけーっ!?」
こうである。突こうとしたダウドはモンに怒りの屁を
お見舞いされた……。
「……デリカシーの無い黒イモ虫のサンディ、アホジャミル、
ヘタレなんか大っ嫌いモン!」
「……ちょ、デリカシーないってサア、何っ!そうやってヲナラ
ばっかしてるアンタに言われたくねーんですケドっ!?」
「シャアーーっ!!」
「モン、いい加減にしろ!吠えて泣いてるばっかじゃ一体何が
気に食わねえんだか俺らも分かんねえだろうがよっ!!皆
心配してるんだぞっ!」
「ウギャブー!」
遂にジャミ公、モンのおかしな態度にブチ切れる……。折角
世界を救う戦いが終わったのに、今度はこっちが一時的に又
冷戦状態になりそうだった。
「ジャミル達も落ち着いて!そうだよ、アイシャの言う通り、
僕達、皆いるんだよ、何が不満なのかちゃんと言ってごらん?
ねえ……」
「モン~……」
今度はアルベルトがモンを……。モンは漸くアイシャの胸から
離れると、どうして機嫌が悪くなったのか、本心を話し始めた。
「モン、どうしたらいいのか……、訳わかんなくなっちゃって、
ごめんなさいモン、……あの時、長老がモンだけを呼んだ時、
モン、長老にお願いされたモン……」
「お願い?爺さんにか?」
「うん……、モン、これからはお前にわしゃの代わりに
マポレーナ達のリーダーになって欲しい、未来の長に
なってくれって……、でも……」
「……マ、マジでかっ!?」
「モンちゃんが……、いつかの未来のマポレーナさん達の長老に……、
凄いじゃない!」
「へえ~、アンタも結構出世したんだ?」
「モン、凄いよお!」
「うん、本当に……、良かったね、モン!」
「でも、でも……、モン、リーダーなんかイヤモン、できっこ
ないモン……、あの時は長老に心配掛けない様に我慢してたモン、
皆を纏めるなんて……、モンには出来ないモン!」
「モン、お前……」
モンは再び俯いた。皆が激励してくれる中、張本人だけは複雑な
面持ちだった。長老にお願いされた時は心配掛けないようにと、
何とか頑張ってみるモン……、と返事を返した。だが、本心は……。
「モン、最初からなんか誰だって出来っこねえだろ、けど、俺ら、
今までこうやって何があっても諦めなかったから……、世界も
救えたんだろ?な?」
「……ジャミル……」
「ウシャシャ、シャシャ!」
「おっ?」
「……モシャ……」
顔の濃いマポレーナの一匹がモンの側にやって来る。モンの肩を
軽く叩いた……。
「ウシャ、シャシャ!ウシャウシャ!」
「「シャーー!!」」
「……モォ~ン……」
「スーパーデブ座布団に、皆、リーダーをお願いしたいって
言ってんのよ、人間達と一緒に旅をして来たアンタなら
リーダーの器があるって!アンタさあ、こんなに他の
マポレーナ達から頼りにされてんじゃん、心配するコト
ねーって、ネ!」
サンディもモンを励ますが……、まだモンは不安な様だった……。
「でも、……モン、皆と一緒に行ったら……、ジャミル達と
お別れ……、さよならなんだモン……」
「!!」
「あ、そ……、そんな……」
「モンちゃん……」
「……お別れ、さよなら嫌モン、皆とさよならしたくない、モン~……」
「スーパーデブ座布団……」
モンが根本的に落ち込んで悲しんでいる理由はこれだった。
マポレーナ達のリーダーを引き受ければジャミル達とお別れに
なってしまうと……。だが、ジャミルは……。
「なあ、モン……」
「モシャ……?」
「確かに、俺らと離れたくねえのは分かるよ、寂しいのは俺も
此処にいる皆も同じさ、だけど、こうやって仲良くなれた、同じ
マポレーナの皆とも、一緒に過ごす時間もモンにとって大事な
事じゃねえか?」
「でも、でも……」
「大丈夫、何所にいたって俺達、ずっとダチだよ、これからも……、
落ち着いたらまだまだ俺達もこの世界を冒険するつもりだ、
きっと又何処かでふらっと会えるかもしんね、……だから、
さよならなんかじゃないさ!」
「……ジャミル……、皆、モンの事忘れない?ずっと、ずっと……、
友達でいてくれるモン?」
「バカだなあ、当たり前だろっ!」
ジャミルはモンのデコを軽く突く。モンの大きな目から又、
涙が零れた……。
「モン、モン……、これからマポレーナの皆に話すモン、いっぱい、
い~っぱい!皆との楽しかった冒険の話を!決めたモン!」
「……モンちゃん、いってらっしゃい!」
「いつか又、君に会える日を楽しみにしてるよ!」
「うん……、元気でね……、頑張るんだよお……!」
「モォォーーンっ!!皆……、ずっとずっと一緒、遠く離れても
いつまでも友達モンっ!!」
こうして、モンも皆と別れ、自分の道を歩き出す事を決意……。
マポレーナ達は、もう少しだけジャミル達との残りの時間を
大事にした方がいいと、後で迎えに来ると、一足先に神の国を
旅立って行ったのだった……。
(モンは……、またいつか、皆に会える可能性もある、だけど、
もうアタシは……、本当に……)
……ジャミル……
「この声……、どっかで……、うわ!?」
気が付くと、側には生気を取り戻し、溢れんばかりの生命の
エナジーを発している世界樹の姿が……。
……ジャミル……、悲しき魂を救い、世界を守ったのは……、
あなたです……
「……モンっ!?」
「あんたは……、セレシア……?」
「ジャミル、皆さん……、そして……」
「ほええ?」
世界樹が小さくなり姿を変え、女神セレシアの姿になった。
もう世界樹と同一化した時の金色の姿ではなく、完全に
女神としての姿を取り戻していた姿だった。セレシアは
サンディの方を向いて微笑んでいたが、彼女はきょとんと
していた。
「人であり、天使である、あなたの心、行いが……、人間達の世界を
救いました……」
「……」
「そして、今、天使達も……、永きに渡るその役目を終えようと
しています……」
「え……?」
「ど、どーゆーこと?」
「モォーン?」
ジャミルを始め、ダウドとモンは首を傾げていたが……。セレシアは
皆に一つのビジョンを見せ、映し出した。其所に見えたのは、天使界……。
「これは……」
天使界の天使達、皆の姿が星となり、天空へと昇って行く。
これまで励ましてくれた天使界の皆、帝国から助けた天使達、
ラフェット、そして、長老オムイも……。
「モ、モォ~ン……」
「モンちゃん……」
アイシャに抱き着くモン。確かに世界は救われた。だが、別れの
時は続いていた、果てしなく……。
「……天使達が星に還った今、地上の人間達からは天使界、
全ての天使の記憶が消えていく事でしょう……」
「……!?こ、此処は……」
セレシアはジャミル達をある場所へとテレポートさせる。天使界の
頂上へと……。世界樹となったセレシアが眠っていた場所……。
其所には、皆を見守る様に輝く無数の星が辺りを取り巻いていた……。
「悲しいけど……、綺麗だねえ……」
「そうだね……」
「……この星の一つ一つの中に……、天使の皆がいるのね……」
「……ああ、オムイの爺さん、ラフェット、天使界の皆も……、
今まで有難う、大丈夫、イザヤールもちゃんと新しい未来へと
旅立って行ったよ、だから……」
ジャミルは星達に語り掛ける様に呟く。すると、星の一つが
反応した様に、一際大きく輝いたのだった……。
「……星となった天使達は永年に星空の守り人として輝き続ける
事でしょう……、けれど、ジャミル……、あなたにはまだ別の
役目があります……」
「役目……?」
「あなたはこれから人間として……、人間達の守り人と
なって下さい……」
「……あ、アッ!?テンチョーっ!!」
「アギロのおっさん……!!」
「よお、ジャミ公、皆の衆!それから、うるせーキャンペーンガール!
はっはー!」
「は、ははは……?」
「モウッ、何がうるせーキャンペーンガールなんスかっ!
ンモーーっ!!」
突如、汽笛が鳴り出し、天の箱船が現れる……。ジャミル達の
新しい旅立ちへと……、扉の鍵を開きに来てくれたのだった。
「何時でも地上に送れる準備は出来てるぜ!」
「テンチョー……、そっか、ホントに、ホントにもうすぐなんだ、
ネ……」
「さあ、ジャミル、皆さん、……間もなく、あなた達の目には、
私も、天使界も、天の箱船も、神の国も映らなくなるでしょう、
さあ、お行きなさい、あなた達の人間界へ……、どうか、平和な
未来へ……」
「セレシア……」
セレシアはジャミル達を励ます様に、見守る様に、最後の言葉を
伝えた。箱船に乗る、ジャミル達、モン、そしてサンディ……。
ジャミルは目に映る最後の天使界の姿をしっかり焼き付けていた……。
やがて、汽笛が鳴り、箱船が天使界を離れる……。
「さよなら、セレシア……」
「セレシア様、どうかお元気で……」
「……セレシア様、有難うございました!」
「……さ、さようならあ~!あうう~!!」
「バイバイモォ~ン!……モォォ~ン……」
……ありがとう……
次第に天使界、セレシアの姿が遠のいていく……。ジャミル達は
その姿が完全に見えなくなるまで遠ざかる風景を何時までも
眺めていた。やがてアギロがジャミルに声を掛ける。……危ねえから
そろそろ車両のドアを閉めるぞと……。ありがとう……、その言葉が
セレシアがジャミル達に伝えた最後の言葉だった。やがて、暗い雲の
海を抜け、箱船は地上の空を走る……。
ねえ、誰かいるの?
いるのだったら姿を見せてよ……
何か言ってよ
そんな人々の声が聞こえる……
一体いつの頃からか
この世界を見守って来たのだろう……
俺達は天使と呼ばれていた……
らしい……
やがて、地上の人間はかつて天使が存在した事も、全て人々の
記憶から忘れていく。だが、其所にはいつも通りの平和な日常の
生活を送る人々の姿があった。
毎日商売繁盛真っ盛り、お客さん大賑わいの宿屋を経営する少女。
少しだけいいだろと、つい宿屋の仕事をサボってしまい、オーナーに
見つかり追掛け回され彼方此方逃げ回る、……ツッパリタワシ頭の青年。
口うるさい国王の父親から離れ、初恋の相手との思い出に
うっとりと浸る王女。
愛した亡き妻の墓参りへと、義親達と共に、墓へ花を手向ける青年。
かつての愛おしい人との思い出の中でのんびりと余生を過ごす
ある村の老婆。
……行き詰まると時々行方を眩ますヘタレの大神官。
今は亡き漁師の父親の後を継ぎ、毎日の漁仕事に勤しむ娘。
思い出の中にいる大切な友達の夢を見ながら静かに眠る人形。
君主として有るべき姿に立派に成長し、民に慕われている
砂漠の国の美しき若き女王。
草原を仕切る未来の長として、今日も民の為に奮戦するパオの
うら若き青年。
かつての不良時代の落ちこぼれから、一転、生徒会長に就任、
学園生徒の皆の為に頑張る少年。
孤独だった少年も心と共に立派に成長して行き、村の民とも
打ち解けて幸せな日々を送っている。
脅威から故郷を守り、命を落とした里の主の居場所には、
今も主を想い、慕う里の民から好物の酒が添えられていた。
皆、皆……、これまで、ジャミル達が関わり、助け、そして、友になった
掛け替えの無い人々達。この地上の人間は、そんな何気ない毎日の日々を、
いつも一生懸命生きている……。
「モン、お前さんへの迎えの場所は此処の森で良いのかい?」
「うん、此処の森の奥で待っててって、皆が……」
ジャミル達はモンを見送る為、一度箱船を降りる。通常なら箱船は
ダーマにある青い木の処でしか絶対に停車はしない。だが、最後にと、
アギロがモンに気を利かせ、マポレーナ達が迎えに来てくれるらしい、
森の近くまで連れて行って皆を降ろしてくれた。
「じゃあな、モン、元気でやれよ!これからのお前さんの検討を
祈ってるぜ!オウ、ビッグなマポレーナになれよ!」
「色々ありがとね、アギロ、……じゃあね、モン!」
「よし、じゃあモンを送って行くか……」
モンはアギロにお礼を言い、ジャミル達はモンを連れてマポレーナ
達との待ち合わせ場所であるらしい森の奥へと……。森の奥に聳える
一本の大きな木。何となく、世界樹を思わせる大樹であった。
「此処でいいモン、後は、モン一人で皆を待てるから……」
「モン……」
「モンちゃん……」
「……」
「あうう~……」
「は、早く行って、お願い、……じゃ、ないと、モン、モン……」
又きっと必ず会える。絶対に会おうと。そう、ジャミル達と硬く
約束し、モンは新しい旅立ちの決意をした。だが、いざ、本当に
別れの時が来るとなると、涙が出そうになりモンは只管堪えていた……。
「何我我慢してんのヨッ、スーパーデブ座布団らしくないよッ!アンタ、
世界一のどーしよーもネー、我侭マポレーナなんだからさッ!泣きたい
時は思い切り泣くのッ!ホラホラホラッ!」
「うるさいモン、我侭イモ虫に言われたくな……」
「……な、何ッ……」
「サンディ……」
「うるさいのはアンタッ!お、女の子のこんな顔いつまでも
見てんじゃないのっ!ヒク……」
「……サンディ、モンちゃんも……、そうよ、我慢しなくて
いいんだったら……、モンちゃん、楽しかったよ、今まで有難う、
絶対に又逢おうね!」
遂にアイシャもポロポロ涙を溢す。参ったなあ、こうなるのは
覚悟してたけど、ジャミ公にとって一番苦手で見たくない泣き顔
だった。この後も、恐らくこの状態は続くだろうから……。何とか
元気づけねえとと、思うのだが……。
「違うわヨッ!こ、コレはッ!……マナーのないジャミ公が
スカシこいて、そのニオイが風にのって流れて来て、目にしみて……、
涙がとまんネーだけなのッ!」
「おい……、無茶苦茶言うなあ……、第一、俺、今はしてねえってのっ!」
「……すいません、放いたのはオイラです……、あうう~……って、
何するんだよおっ!キーっ!この暴力変態天使ジャミルっ!!」
「うるせー!この屁コキヘタレめっ!」
「あのね、君達……、こんな時まで……、いい加減にしないと……」
「……モン、モン、モォォーーンっ!!」
……何所までもアホなアホコンビ、又取っ組み合いに発展しそうになり、
アルベルトはスリッパを出す……。そして、モンも釣られてしまい、
レフリーを引き受けてしまうのだった。
「……こんな処までっ!いい加減にしなさいよっ!ジャミルっ、
ダウドっ!……アルもっ!!」
「ま、また……、ぼ、僕もなの……?えーと、すみません……」
「「すんません……」」
「んーっ!めっ!」
やはり、最後は肝っ玉アイちゃんツヨス。腕組みをし、男性陣を
一喝するのだった。
「きゃははは!やっぱりアンタ達って、究極のアホー!」
「うるせーガングロっ!元はと言えばオメーが変な事言うから
だろうがよっ!」
「はうう~……」
「知ーらネッ、きゃははは!」
「はあ、やっぱり皆、揃ってアホだモン~……」
「モンっ!オメーに言われたかないっ!」
「そーだよお!」
「ふふ、でもね、モンはね、そんな皆が……、だーいすきだモンっ!」
「……うわあーーっ!!」
モンは翼を広げ、ふわふわと空中へ羽ばたく。大樹の枝には
いつの間にか、沢山のマポレーナ達が……。
「皆、モンを迎えに来てくれたんだな、ありがとな!」
「「♪ウシャーー!!」」
「皆、モンの事をどうか宜しく……!」
「モンちゃん、本当にありがとう!元気でね!」
「さよならは言わないよお!またねえー!」
「……頑張らなかったら許さないからネっ!あはは、じゃあねー!」
「モン、俺らずっとずっとダチだぞっ!これからもな!」
「ジャミル、アルベルト、アイシャ、ダウド、サンディ、
モォォーーンっ!皆と出会えてモンはホントにホントに幸せー!
ありがとうーっ!またねーーっ!」
「「ウシャーー!!」」
モンは迎えに来た沢山の仲間のマポレーナ達と共に、森を
突き抜け、大空へと羽ばたいていった。モン達の姿が見えなく
なるまで、ジャミル達は何時までもその姿を見守っていたのだった。
「……モンちゃん、……等々行っちゃったね……」
「ああ……、大丈夫、モンならきっと新しいダチとも
上手くやれるさ!」
「……オイラの頭、何かスースーする、いつもモンが頭の上に
いたからね……」
「ダウド、これで良かったら……」
「アル、ありがと、……あはは、何か変な感じ……」
アルベルトは以前にサンマロウで購入し、ご無沙汰になっていた
変な人形をダウドの頭の上に乗せた。モンに散々太鼓を叩かれて
いた頃は、いつもうるさくて仕方が無かった。だが、いつか
こんな日が来るとは夢にも思っていなかった。ずっと、ずっと……、
一緒にいると思っていたから……。
「頑張らなくちゃ、オイラも……」
「あ、あっ……」
「サンディ、どうし……」
「アタシももう、何か時間みたい……」
「……俺もだ、お前の姿が……、半透明に見えてる……」
次は此方だった。ジャミル達も、サンディも……、お互いの姿が
もう見えなくなりかけていた。4人はサンディと共に箱船へと戻る。
次の停車先は……、今度こそ、ダーマのあの青い木の元へ……。
「ジャミル、この伝説の装備一式、俺ん処で預かっちまって
本当にいいのか?」
「ああ、おっさんなら心配ねえと思うからさ、俺にはやっぱ荷が
重すぎるっちゅーか、こう言う旅人の服みたいな軽装の方が
あってるし、照れくさいんだよ……、カナトなら分かって
くれると思うし、ダチだからさ……」
「そうか……、じゃあ、このアギロ、伝説の装備を責任持って
預からせて貰うぜ!」
「頼んだぜ……」
「……ひっく、ひっく……」
「……サンディ、もう泣くな、……俺達とジャミル達とはもう
住む世界が違うんだ……」
「だって、だって……、テンチョー……、アタシ達とジャミル
達とはもう二度と絶対に会えなくなるんだよ、……こんなの
サビシーじゃん、嫌だよう~……」
「おい、んな顔すんなよ、化粧が墜ちるぞ……、剥がれるぞ……」
「!な、何よっ、ジャミ公はっ!ホンッと、最後までデリカシーがネー、
マジ、信じランねっ!」
「はあ、オメーにはいつもヤキモキ、時に苛々……、ハラハラ
させられたけどさ、それも含めて今はいい思い出だよ、だから……、
最後まで笑顔でいてくれや、いつも通りの不貞不貞しくて図々しい
態度のデケーオメーのままで……」
「……ジャミ公~……」
「そうよ、ジャミルの言う通り、あなたに悲しい顔は似合わないわ、
いつまでも、太陽みたいな明るい笑顔のサンディのままでずっと
いてね、ね!」
「アイシャ……」
「有難う、サンディ、さようなら……、元気でね……」
「いつまでも泣いてると、ヘタレになっちゃうよお~、
えへへ~……」
「アルベルト、ダウド……、って、ヘタレっ、アンタ大きな
お世話っ!ンモーーっ!」
「えへへ~……」
「モンにも言った様に、離れても俺らずっとダチだよ、
ずっとさ……」
「……うんッ!だネっ!」
サンディはアイシャに抱擁して貰い、ジャミル達男性陣とそれぞれ
別れの握手を交わした。
「あのね、今だから言うケド、アンタ達との旅、ケッコー
オモロかったよーっ!」
「……サンディ、時間だぞ、乗れっ!」
「♪アーイっ、テンチョー!」
……そして、箱船は動き出す。箱船に乗り込んだサンディは
いつもの小悪魔ギャルのままの笑顔だった。
「ジャミル、皆、じゃあな!この先どんな困難があっても絶対
挫けるんじゃねえぞ、負けるなよーーっ!」
「アギロっ、さよならーーっ!ありがとなーーっ!」
「「さようならーー!!」」
「ばいばいーっ!みんなー!……ネーっ、ジャミ公ーーっ!」
「……何だ、サンディっ!?」
「アタシ、ホントは……、……ネ……」
「サンディ……!!……おーいっ、何だよーーっ!!」
ジャミルは箱船を追い掛けるが、車両のドアの隙間から顔を出し、
サンディが最後にジャミルに伝えようとした言葉。その言葉は
ジャミルの耳には届く事は無く、箱船は大空へと飛んでいった……。
「……はあ、あいつらも行っちまったか……」
「サンディ、さようなら……」
「これからは日が消えた様に静かになっちゃうんだね……」
「ダウド、字が違うよ……、それは大丈夫、ジャミルがいるから……、
その心配は絶対にないと思うよ……」
「あ、そっか……」
「……うるせーよっ、腹黒っ!ヘタレっ!!シャアーーっ!!」
「……はくしょんモンっ!……モン~?」
「ウシャ?(風邪……?))」
「……何処かで誰かが……、モンのマネしてるモン……、あ……」
ジャミル達は箱船が完全に見えなくなるまでずっと見送っていた。
そして、旅立った、モン、マポレーナ達は何処かにある木の上で
一休みしていた。……大空へと消えていく天の箱船の姿をモンは
ずっと見守っていたのだった……。そして、4人組も前を向いて
歩き出す。この世界の謎を解き明かす、新しい冒険に向かって……。
~fin~
zoku勇者 ドラクエⅨ編 終