人肌の嘘
嘘を渇望する夜もある
綺麗事に救われる夜もあるんだね
あんなに忌み嫌っていたのに
それを欲しがるときが来るなんてね
弱っていく私の心を
人肌のような温度で温めてくれる嘘
自分の冷えきった心との温度差に
思わず泣いてしまいそうになる
こんなに涙もろくなっているのは
強くないのに強がりすぎたせいか
強がることは自傷の一種だった
強がりな言葉で自己を鼓舞しても
隠しきれない辛さ、虚しさ
私は心が壊死していくのを
見て見ぬふりをしていた
泡沫のような嘘でもいいから
慰めてくれる言葉が欲しい
この夜をやり過ごせるだけの
耐えられるだけの愛が欲しい
瞬間でもいいから救われたい
嘘を渇望するとき
綺麗事がとめどなく漏れ出るとき
私は死の前兆にある
いっときでも支えになってくれるなら
それでも
人肌の嘘