『幸福だった証拠を捨てられない』

遠い昔に撮ったプリクラを
今でも見返す度に胸が痛い


『幸福だった証拠を捨てられない』


毎日笑っていたのを覚えてる
日常会話で探り合ったり
君の視線の先を訝しんだり
本当に忙しくて目が回る日々

アタシはピンクを肯定しだして
君は黒が正義だとか言うの
でも結局は白がいいんじゃない?
そんな会話が延々続く

散々共学を羨ましがって
その後女子校の利点を上げる
いつもの流れだけどこれが一番
アタシ達を慰めてくれるの

スカートの長さを揃えて
コインシューズの中敷きも一緒
カーディガンを腰に巻く時は
お洒落に疎いアタシに教えてくれる

先生が絡まなければ君は
いつだってアタシを特別にしてくれる
どんなに辛い時だって
傍に居てくれるって信じてた

あの子には負けるけど
それでもアタシは特別でしょ?
いつもみたいに魔法をかけてよ
責めるみたいに泣かないで

どんな特別になれたって
君と居ると惨めだった
本当は水色が好きだったんだ
君と居る為に嘘吐きになるしかなかっただけ



「不毛な恋を応援する振りも過ぎたこと」

『幸福だった証拠を捨てられない』

『幸福だった証拠を捨てられない』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-06

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