アイスコーヒーチルドレン

ワクワクが足りない。すべて恐怖に変わるから。出会いがなければ別れもない。ただ生きて死にたいだけ。
普通になりたい。まともになりたい。飽きもせずによくやるよ。

コーヒーの泡立ち。クモの複眼。あなただけを見つめている。
グラスの中の生殖行為で、幼少の僕を復元して。
安楽の毛布をまとい、快楽を享受した。孤独の殻を強固にした。
氷漬けの生殖行為。
内側に生えた無数の針に貫かれる痛み。
忘れたいと思うことを、ちゃんと忘れられる人になりたい。

いつか離れないでと言った、君のたわごとを信じてみる。なんとなく気だるげにはじめてみる。痛くなるまで感じたい。いつかあんなふうに笑えるのかな。

グレーのショーツ。空が泣き出す前の色。
ネイビーのシャツ。今日も君は一人きり。
誰かを想って、満たされなかったその場所に、どうにかして俺を潜り込ませたい。
すべてをゆるしたぬかるみの感触。
アイデンティティ。花も草も飲み込んで。
深く深く、深く沈めて。

コーヒーのぬくもり。けれど冷たい目、心の内に潜んでいる。(眺めている)
詩の瞑想。言葉の音は鳴り止まない。
等間隔。一定のリズムで、君の血滴を垂らして、俺をおかしくさせてくれ。
崩壊した日常。積み上げるものもないなら、全部まとめてすり潰してくれ。

粉末を溶かして、カップの中の生殖行為。
深く深く、深く沈めて。
切れかかったインクが残すシャドウ。
日常を享受して、君の弱さに踏まれたい。
ゆるしたいんじゃなくてゆるされたい。
時間も何も溶かしたい。
指に染みつく君の孤独を舐めたいよ。
僕のものにしたいよ。これはもう愛じゃないよ。
けれど受け取って、受け取って、受け取って。

アイスコーヒーチルドレン。グラスの中で生まれ変わって、言葉だけで輪郭を描く。
アイスコーヒーチルドレン。僕の中で、ゆっくりと育てて。

アイスコーヒーチルドレン

アイスコーヒーチルドレン

ジャーナリング

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-05

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