『エデンの東』

君が吐いた嘘の終着地点は
最果ての優しい地獄


『エデンの東』


甘く囁く蛇に誘われて
君が手にした赤い果実
一体誰と食べたというのか
悪びれずに舌を出す天使

こんな場所には居られない
そう告げた唇が僕の名を呼んだ
ただそれだけの理由で罪を犯す
他の誰でもない僕の名だったのだから

全てが上手くいってる時は
誰が相手でも楽しいわ
でも落ちる時は選ばなきゃ
一緒に落ちてくれる人は少ないもの

窓の外を眺めながら君は
淡々とそう言って少し笑った
理由なんてどうでもいいんだ
名指しされる前から僕は君のものだった

他の道もあった筈なんて意見は
余りに意味が無くてまた君を見る
どんな道があったとしても
僕は迷いなく君しか見ていなかった

カーニバルの観覧車に乗ったのも
ナイフを手に取ったのも
理由なんて同じようなものだから
君が恐れる孤独なんて存在しない

また気まぐれに誰かを愛したとしても
いつかその唇が僕を呼ぶ日まで
息を殺して君の傍に居続ける
まるで消えない影のように



「愛されたがらない貴方と一緒に地の底へ」

『エデンの東』

『エデンの東』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-09-01

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