バタフライ・エフェクト
一羽の鴉が夕焼けを横切ると
国は亡びた
嗜眠症の少女が舟を指差すと
舟は沈んだ
少年が蟻の隊列の先頭を踏み潰すと
少年の来世はそれになった
現実に魘されているわれわれは
夢を安息地にしようとするが
夢は現実になりたがっていた
もはやわれわれに居場所はなかった
こらえきれずに嚔をしたせいで
人を死なせてしまった
いつもと違う帰り道を選んだせいで
人を死なせてしまった
こんな詩を書いているせいで
人を死なせてしまった
故意ではないことを弁明しても
起きたことは覆らず
僕は無意識の人殺し
人は無自覚の人殺し
あなたを知ってしまったせいで
もう誰も愛することができない
バタフライ・エフェクト