研ぎ師
言葉を研いでいる
人を、あるいは自分を
深く突き刺すことができるように
何でもかんでも言葉にするな
言葉にした先から腐ってしまうぞ……
そうだな、何でも言葉にするのは
あまり褒められた行為ではない
言葉は醸成するものであって
乱発するものではない
毒にも薬にもならない言葉が
再び毒にも薬にもなるように
おれは言葉を蒐集し保管する
それが脱皮する時期を窺っている
おれとてこれでも一詩人
人を傷つける術は心得ている
かのボルヘスも言っているだろう
本当のところ愛する者だけが
相手を傷つけることができるのだ、と……
おれは愛することと傷つけることを
一緒くたにして詩を吐き出す
無傷の人間と傷だらけの人間
愛するほうが難しいのはどちらだろうね
研ぎ師