夏恋

2006年、夏。

私は初めて“恋“をしました。




青い塗料の入ったバケツをひっくりかえしたような空に浮かぶ入道雲
それと、思わず目を細めてしうほどの眩しい太陽。



煩いほどの蝉の鳴き声や

プール鞄を背負った小学生たちが私の横をかけていったときのふわっとした熱い風や


ジリジリと焼けるほどのアスファルトも




なぜか私は大好きで



夏が好きな理由はきっと、あなたを思い出すからなのでしょうね。



あなたは 覚えていますか?




私と過ごした、あの暑い夏のことを―――。

始まりの季節

私の名前は“高橋 空 “

都内の私立高校に通う、青春真っ盛りの高校2年生。

と、言いたいところだけど


運動部に所属し仲間と共に汗を流すわけでもなく
一流大学を目指し一心不乱に勉学に励むわけでもない。

かといって、

学校にもいかずゲームセンターに入り浸るような不良でもなく

放課後に友達と夜になるまで公園やファミレスで
お喋りに明け暮れるわけでもなく

平凡すぎるどこにでもいるような女子高生。

いや、果たして自分を女子高生と呼んでいいものかすらもわからない。



そんな16才の春、クラス替えが私の運命をかえた。


新しいクラスに入ると見事に見たことのない顔ばかり。

正直、また1から友達作りを始めなければならないことが億劫だった。


「ソラ、おはよう」


後ろから名前を呼ばれ振り替えると、そこには1年のときに
同じクラスで仲良くしていた“長沢あこ“が笑顔で立っていた。

あこ、通称あっこは明るい性格で
うちの学校でも比較的に力をいれているバスケ部に所属していて、
勉強もできて、人望も厚いという
まさに青春真っ盛りのパーフェクト人間。


私とは正反対のあっこがなぜ仲良くしてくれているのかというと


あっこいわく「ウマが合うから」だそう。

周りからは不思議な目でみられてるみたいだが
私もあっこも気にしていない。

きっと、そんなところも合うのだろう。

「8クラスもあるのにソラと同じクラスになれるなんて思ってなかったよーめでたいめでたい」


あっこは笑いながら自分の席にスポーツバックを勢いようドサッと下ろした。

夏恋

夏恋

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-30

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