くもの巣

きみは蜘蛛だった。そしてぼくは、蜘蛛の巣に引っかかった蝶。
ぼくは、蜘蛛の巣の世界が、美しく見えた。
蜘蛛というきみが、美しく見えた。

きみは、蜘蛛の巣の中で、だれかを引っかけようと待ち構えていた。
他にも、捕まえられた獲物がいたこと。
ぼくは知らなかった。
ぼくは、獲物が他にいると知ってもなお、
きみのそばにいようとした。
あるとき、ぼくは蜘蛛の巣が巡らされた
この世界の果てを覗き込んでしまった。
ぼくは、蜘蛛がいない隙に
蜘蛛の巣を破り、外界へでた。

これからもきみは、蜘蛛の巣の中から、
獲物を取り込もうとするだろう。
花の香りを漂わせて。

くもの巣

くもの巣

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-25

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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