賭け

紙面の上でおれは
自分の知らない言葉で話すのだ
思ってもいないことを話すのだ
(たが)が外れたように独りで話しまくる
一縷(いちる)の偶然性に賭けながら
不意に飛び出した真実で
おれは致命傷を負う
おれは傷を撫でさすりながら
それでも奔放に話すことをやめない
無意味に傷つくことをやめられない
賭けた偶然性が成就するときは近い
もうすぐだ、そう言い聞かせながら
おれはなけなしの脈絡で言葉を紡ぐ
おれにしか理解できない理屈がある
それはおれだけが解っていればいい
おれだけがおれの掟を遵守すれば、
おれは独り舞台で華々しく散るのだ
(おびただ)しい紙吹雪を浴びながら

賭け

賭け

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-25

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