蒲公英の綿毛
光芒は見えるか 見えない
算段はあるか ない
かつての激情は涸れ
生気の失せた抜殻だけがここにある
おれはもはや故郷をもたぬ流浪者だ
おれのような根無し草は風に吹かれ
ゆくあてもないまま漂うのがお似合いだ
生に貪欲だったあの頃が懐かしい
かつて生きることは祈ることであり
信じることだった、今のおれには
もはや祈ることも信じることもできない
どこに根をおろせというのか?このおれを
受け入れてくれる場所などありはしない
もとよりおれはさすらいたがる性分なんだ
故郷がおれを突き放したのではなく
おれが故郷を突き放したのだ
未練など微塵もありはしない
ましてや執着など
おれは蒲公英の綿毛のように
どこまでもどこまでも飛ばされてゆく
風よ止むな、と念じながら
蒲公英の綿毛