夜の罪状

夜に責任をなすりつけよう
もう自分の中の自分が不当に壊れなくていいように
夜を好きなだけ欺こう
かつて不当に迫害されていた自分を救いにいこうよ
頭の中に渦巻く憎悪、それは全てに対する憎悪
こんな自分にしてしまった自分への憎悪
私は誰もいない更地を独り、歩き出す
変わらない景色に慣れてしまわないように
夜の帳を思い切り破いてしまおう
もうきみが意味のないことで悲しなくていいように
夜という画布を真っ白に塗りつぶしてしまおう
もうきみが疎外感を感じなくて済むように
もうきみが心細さを感じなくて済むように
私は誰も見向きもしない光を独り、集める
私は誰も振り返りもしない過去を独り、集める
夜は罪作りな時間、人が人でなくなる時間
私はかつての夜を取り戻す、かつての
無条件に許される安心に包まれていた夜を

夜の罪状

夜の罪状

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-08-14

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