君と見た空

第七章

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午後の授業が終わった。

結局全然集中できなかったなぁ。
あんなことがあったから…。

頭の中がまだ混乱してる。
私、あの人に振り回されてる…。


「はるかー!また明日!」


「あっうん!ばいばい」


真由は陸部の友達と部活へむかった。


「私も行かなきゃ…」


席を立ったそのとき


「林」


誰かに声をかけられた。

振り向くとそこには藤崎くんがいた。

予想外の出来事にパニック状態になる私。
すると、藤崎くんが白い紙を渡してきた。


「これやる」


受け取って開いてみると、見知らぬアドレスが書いてあった。


「これ…誰の?」


やった!話せた!と思いながら聞いてみた。
声、震えてなかったかな…。


「この状況的にわかんない?」


「えっ…?」


全くわからないので焦る私に藤崎くんは言った。


「わかんねーか。お前っておもしろいやつだなっ!俺のアドだから。時間あったらメールして」


「藤崎…くんの…?」


やっと理解した瞬間顔が熱で真っ赤になったことは自分でも気が付いた。


「そ。俺の。じゃぁな」


微笑んだ後、藤崎くんは友達と教室を出た。
私は何も言えずただその場に立ち尽くしていた。
どうしよう…アドもらっちゃった…。
嬉しすぎてどうにかなっちゃいそう。
話したのだって久しぶり…。
自分だけしか残っていない教室は静かで、自分の心臓の鼓動が響いてるんじゃないかと心配になった。


「わっわたしも部活行かなきゃ…」


まずはとにかく気を紛らわすことをしなきゃ。
そう思い教室を出た。

部活に向かう途中、廊下で女の子とすれ違った。
あの子知ってる…。
1‐G組の新田さんだ…。
校内で可愛い子№1と言われている新田さんは人気雑誌の読者モデルもしているらしい。
前、沙希が話してたような…。
すれ違うと、ふんわりと香水の匂いがした。
お人形さんみたいなふわふわの髪、大きな目。
うらやましいな。

私は彼女が自分のことを見ていたことなんて知らずにそんなことを考えていた。



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君と見た空

君と見た空

ぱーと7

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-28

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