陰キャと陰キャの非日常な日常

気色悪いBL自己満小説。随時更新。

ある日

 僕の名前は影山独(かげやまひとり)。新崎中学校の3年生。クラスでは目立たないような、俗にいう陰キャだ。というか嫌われ避けられている節もある。まぁ、そんなことはどうでもいいのだ。クラスの人間は総じて嫌いだ。どいつもこいつもつまらない話をして、誰かを嘲笑って、同じ年の同じ人間だと思いたくない。母からは怪訝に扱われ、妹には避けられ、クラスでは浮いている。こんな日常、やめれるもんならやめたい。生きる糧が何もない。

 とある日の2時間目、体育館で体育の授業。運動は嫌いだ。運動神経自体は平均ぐらいだが、汗をかいたりするのが嫌なうえに、誰かと共に何かをするという時点で論外。
「…というわけで、今日は体力テスト。上体起こしをする。好きに二人組を作れ~」
…はあ。よくあるやつだ。僕だけ残されて、先生が腫れ物にでも触るように「影山は…俺とやろうな」と言ってくる。不快だ。…あ、今日、確か偶数人数だ。おい、嘘だろ。僕のために「影山と誰か組んでくれ」と言われた3人組が嫌そうな顔をしてこちらを見てくる。そしてこそこそ押し付け合いをする。不快不愉快。もう、嫌だ…。周りはすでにペアを組み始めている。もういい、腹をくくろう。すでに嫌われているならどうだろうと何も_______
「か、影山くん…?」 
後ろから唐突に声を掛けられ自分でもびっくりするほど動揺してしまった。振り返るとそこにいたのは薄井幸並(うすいこうへい)。センター分けのいつも目立たないような男子。もちろん話した覚えもないし接点もない。
「あ、あの…誰も組む人いないなら一緒に組まない…?」
…は?なんで、え? …確か、薄井はいつも男子学級委員長の下田といる。下田は誰とでも仲がいいが、特に一緒にいるのは薄井だったな。でも、視界の端でその下田が別の男子と組んでるところが見えた。仲の良さから下田が薄井とペアを組むのを拒むはずがない。…もしかして_____
「…いや、かな…?」
口元に下手くそな笑みが浮かんだ。
「いや、い、一緒に組もうか、薄井…くん♡」 
ぼ、僕のこと、好きなんだろうなぁ♡わざわざ仲のいい奴と組まず、嫌われ避けられている僕と組もうなんて…これ、好きってことでしょ♡好きじゃなかったら話しかけてこないしね♡
「あ、ありがとう!」
ん~~~~~♡めっちゃ喜んでくれるじゃん♡まぁ、好きな人と一緒に組めたしね♡恥ずかしいのかな?もじもじしちゃって…可愛く見えてくる♡
「全員組めたな~。よし、マットに片方寝て、もう片方はしっかり押さえとけよ~。」 
「影山くん、先にやる?」
「あ、う、うん…」
僕がマットに膝を立て、マットに寝っ転がると薄井くんが僕の足の上に乗り、ももを抱えた。…ぁあ、可愛い、可愛く見えてしまう…。クラスの可愛いと言われている女子やテレビの女優にすらそういった感情を抱いたことなんてないのに。
「頑張ってね、影山くん」
「う、ん…」
「30秒間、始め。」
正直上体起こしなんて死ぬほどめんどくさいが、上体を起こすたびに「いち…に…さん…」と、小さな声でカウントしてくれる薄井くんが可愛くてたまらない。
「…そこまで。記録、ちゃんと書いとけよ~」
「26回、すごいね影山くん!」
薄井くんが僕の記録用紙に記録を書いてくれる。優しいんだな。
「ありがとう薄井くん…薄井くんも頑張ってね」
「うん、ありがと!」
膝を立てて横になった薄井くんの足をしっかり握った。細いなぁ…ちゃんとご飯食べてるかな…♡
「いくぞ~、始め。」
ゆっくりと上体を起こしてはまた寝ころび、また起こして。起き上がるたびに「ん、ふ、ん…」と漏れ出る声になぜか興奮してしまう。人間ってこんなに可愛い生き物だったか…?
「…そこまで、記録、書けよ~」
「19回、お疲れ様」
「ありがと…」
たったの30秒の上体起こしで息を切らしている薄井くん、可愛い。薄井くんの記録用紙に記録を書く。以前やった上座体前屈、シャトルラン、ソフトボール投げ。いずれも平均以下。ほんとに運動神経悪いんだなぁ、可愛い…。
「今日はもうやることないからちょっと自由時間で~。」
陽キャが騒いで喜んでいる。ほんとに耳障りだ。すると、隣で上体起こしをしていた下田が薄井くんに話しかけていた。
「なぁ、薄井くん、バドミントンしよ!」
「うん!あ、影山くん、一緒にやってくれてありがと!」
「あ、う、うん」
下田と歩き去る薄井くんの後ろ姿を見ながら、本能に抗えず盛ってしまったそこを抑えていた。 

純愛1日目

 この僕が、学校に行くのが楽しくなった。というか学校に行く理由ができた。もちろん、薄井くんを見て、薄井くんと話して、何なら薄井くんに触れるために。いつも無駄に朝早く登校する意味ができた。薄井くんはいつも朝読書20分前、まぁまぁ早くに来ていたらしい。興味なんてなかったから、意識しだして初めて気づいた。朝登校すると、パパっと荷物をかたずけた。かたずけ終わった薄井くんは僕に気づいた。
「あ、か、影山くん、おはよう!」
「あ、お、おはよう…う、薄井くん…」
ふ、ふひひっ…か、可愛い…やっぱ僕のこと好きなんだろうなぁ…♡挨拶までしてくれて…。挨拶が往来し終わって気まずい空気が流れた。それに耐えられずに先に薄井くんが口を開いた。
「い、いつも思ってたけど、影山くん、頭いいし、運動だって俺よりできるし…すごいよね!」
「いや、別にずば抜けてるわけでもないし…ていうか、どっちも平均ぐらいだよ…」
「…でも、な、なんにもできない俺からすると、本当に憧れるよ…」
…「いつも思ってた」…?こんなん、告白だよねぇっ♡そ、そんだけ僕のことしゅきってこと♡あ˝~~~~~~…そんな、無意識に告白されちゃ、ドキドキしちゃうじゃんっ♡
「…あ、今日下田くんにお手伝い頼まれたんだった、じゃ、じゃあ、またあとでね!」
「あ、う、うんっ」
小走りで廊下に出る薄井くんの背中を見ながら不意に口角が上がってしまっていた。

純愛2日目

 「…今日は席替えしまーす。一人一人くじ引きに来てくださいねー。」
いつもなら角の席だけを願うだけの席替え。ただ、もう今は違う。ただ一つの目標。薄井くんの近くの席。今は真反対と言ってもいいほど離れた席。しかも僕のほうが前だから、授業中薄井くんを見られない。この席替えに賭ける。ここまで緊張する席替えは初めてだ。ただ、結果を待って。_______

 「…席移動できたかー、仲良くしてくださいねー。」
……勝っ、た…僕は左端の前から3番目。薄井くんは左端の前から2番目。つまり、僕は薄井くんの真後ろ。視線を上げればすぐに薄井くんの後頭部が。あぁ、なんと幸せか。何なら近くに下田はいない。薄井くんの交友関係は僕と下田の二人。要するに、薄井くんは僕に話しかけてくれるってわけ…。
「影山くん…前後になったね、しばらくよろしくね!」
「う、うんっ、よろしく♡」
僕のために後ろを向き、僕と話そうとする健気で可愛い薄井くんっ♡僕は優しいからその気持ちに素直に答えたげるよ♡これからは授業中、いっっっぱい僕の目で犯してあげるからねっ♡

純愛3日目

 4時間目、社会。授業なんてまともに聞くわけがない。僕は、薄井くんを視姦することで忙しいんだなっ♡可愛い…♡後ろからちらちら見えるセンター分けの前髪も、少し伸びた襟足も、そこからちらっと見える至近距離でないと見えないレベルの小さいほくろも、少し猫背で悪い姿勢も、ちゃんと授業を聞いてちらちら黒板を見る視線も、板書している姿も、たまに髪をいじいじする仕草もっ♡何もかもが可愛いっ♡あぁぁ……♡そのサラサラな髪の毛に口付けをしたい…その可愛いお顔に触れたい…その小さいお手手を握りたい…そのいつも乾燥してる唇を僕の唾液で潤したい…その細い体を直で視たい…快楽に溺れる薄井くんを…いや、薄井くんを快楽に溺れさせてあげたいぃっ♡あ˝ぁ…ヤバい、ヤバい…興奮しすぎて、体が反応してしまう…♡んもぉ…薄井くんは罪な男の子だなぁ…
 そんな妄想をしている中、薄井くんが肘を引いた瞬間、薄井くんの消しゴムが落ちた。そう、こちら側に。僕は反射並の速さでその消しゴムを拾い上げた。薄井くんは気づいていないらしい。…いいのか、しょうがないよな…。僕は意を決して、薄井くんの肩に手を置いた。
「う、薄井くんっ…」
あっ♡さ、触っちゃった♡一瞬だったけど少しぬくもりを感じれたぁ♡薄井くんはわかりやすくビクついた。か~わいっ♡
「どっ、どうしたの…?」
「消しゴム、お、落としたよ…♡」
僕は消しゴムを乗せた手のひらを差し出した。 
「え、あ、あぁ、ホントだ…ありがと…」
と、薄井くんは僕の手のひらから消しゴムを取った。触れた。触れた。薄井くんから。僕の手に…触った…。薄井くんはにこっとこちらに微笑んで前に向き直った。…ぁあ、ぁあぁっ♡て、てのひら、あ、えがお、むけてくれて、ふ、ふひひっ♡可愛すぎるっ♡差し出し、薄井くんと一瞬でも繋がったこの右手…ぁぁあっ…♡もう、まともに頭が働かなくなった。ただ、使命かのように、僕は、その右手のひらに、口付けをした。手のひらに自分の唇の感覚が伝わった。…これで、う、薄井くんの手と間接的に、ちゅ、ちゅーしたって、ことでっ♡ぁぁっ…授業後、僕は給食の準備なんぞほっぽりおいて、トイレに駆け込み、劣情を吐き出した。

純愛4日目

 3時間目前の休み時間。体育前なので着替える。女子は隣の空き教室、僕ら男子は自分の教室で着替えることになっている。僕は自分の席にスポーツバッグを持ってきて着替えていた。そしてそれは薄井くんも同じ。目の前で着替えているということだ。着替えるために上を脱ぐ薄井くん。部活は僕と同じく無所属。きっとスポーツを習った経験すらないだろう。細い腕に白い肌。本当に…え、えっちだなぁっ♡さ、触ってみたい…♡触っちゃダメかな…?お、怒られちゃう…?叩かれちゃう…?引かれちゃう…?…ふひっ♡怒り慣れてない薄井くんも、優しく叩く薄井くんも、軽蔑の視線を向ける薄井くんも、きっと可愛いだろうなぁ♡薄井くんはタンクトップを着ていた。あぁ…それが無かったらどれだけよかったか…薄い胸も細い腰も可愛いおへそも…見たいなぁ…♡…まぁ、いつか脱がしてあげるし♡それも興奮材料ってね♡そんなことを考えていると、上を着替え終わった薄井くんと目が合った。すると、さっと目をそらし、またこちらを…僕の体を見た。え…♡そ、そんなに見られると興奮しちゃうよ薄井くんっ♡
「…か、影山くん、た、体格いいよね…身長も高いし、うらやましいや…」
確かに、身長は高いほうだし、鍛えてるわけでもないが人並に筋肉がついている。
「え、そ、そうかな…ふ、普通くらいだよ…」
そ、そんな目で僕のこと見てたのぉ…?…ふひひっ、は、破廉恥だね、薄井くんっ♡
「お、俺がひょろいからなぁ…憧れるよ…」
そう言うとまた黙々と着替え始めた。…あ、し、下脱いだ…っ♡黒のトランクス履いてるんだね♡可愛いっ♡そこから生えたこれまた白くて細い足…ぁああっ♡その足を触りたい…舐めたい…すべすべしてるんだろうなっ♡毛は処理してるのかな?可愛いなぁ…♡そう考えているうちに薄井くんは着替え終わっていた。上にジャージを着て、下は半ズボン。温かくなってきたが、まだ少し肌寒い今でしか見られない服装、これはこれでそそる…。1人で教室を出ていく薄井くんを見ながら僕も後を追った。

純愛5日目

 5時間目、数学。今日も今日とて薄井くんの後頭部の視姦日和♡いつも通り後頭部から可愛いさが溢れてるよ♡ただ、いつも通り薄井くんを見ていると、やけに慌てている様子だった。ポケットをまさぐっては何も取り出さなかったり、キョロキョロしてたり。そんなことを考えていると、薄井くんがこちらを振り返った。僕はその姿にビックリした。左手を顎付近に受け皿のようにしていた。その謎のポーズの理由はすぐに理解した。薄井くんの鼻から真っ赤な液体が垂れていた。顎に当てた左手の平も真っ赤に染まっていた。_____鼻血、さっきからの挙動不審の理由が分かった。
「か、影山くん、ティ、ティッシュ持ってない…?」
「あ、う、うん、あ、あるよ、ちょっと待って…」
ポケットから何も取り出さなかったのは、ティッシュがきれていたからか。僕はズボンの右ポケットをまさぐり、ポケットティッシュを取り出した。そして、急いで数枚ティッシュを取り出し、薄井くんに渡した。「あ、ありがとう…」と言い、空いた右手で受け取り、鼻をそれで抑えた。すぐに赤に染まった。またティッシュを渡した。それを2、3回繰り返すと、そのペースが落ちた。ましになったのだろう。(ていうか、周りに気づかれなさすぎじゃないか。どんだけ影薄いんだ僕たち…)しかし、使用済みのティッシュを持っていた左手、鼻を抑えている右手、いずれもいっぱいになりあたふたしている薄井くんに手を差し伸べて
「もらうよ、鼻、おさえられないでしょ…?」
と言った。すると、焦り、困ったような視線をこちらに向け(その顔チョー可愛い♡)しばしの思考の間があった後「ごめんと小さく謝り、使用済みの赤に染まったティッシュを僕に渡した。すると、ようやく先生がこの小さな惨事に気が付き、
「あ、薄井さん、鼻血?大丈夫ですか?」
と訪ねてきた。
「治まったら流しで洗ってきなさいね。影山さんも、その手、洗っておくんですよ。」
遅えよ、変に注目されて薄井くん困ってるよ。

制作途中

陰キャと陰キャの非日常な日常

陰キャと陰キャの非日常な日常

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2025-06-06

CC BY-NC
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CC BY-NC
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