『鍵をかけたまま』

後ろ手で閉めたドアの中は
アタシだけのトップシークレット


『鍵をかけたまま』


友達の前では全部話してるフリ
昨日のことも、誰を好きかも
笑って言えるような恋ばかり選んで
本当の話はいつも鍵をかけたまま

みんな表面しか見ないから
違和感なんて誰も気づかない
そうして大事なものだけ
頑丈な鍵をかけて仕舞い込む

今日あの人が目を伏せた回数
チラリとアタシを見た回数
薄い唇が微かに笑みを刻んだ回数
冷たく背を向けた回数

友達の目を盗んでいつも数えてる
秘密の濃度が高まれば高まるほど
次の逢瀬に恋焦がれ焼かれる
そんなアタシを望んでると知ってるの

眉根に皺を寄せ唇を歪ませる
あの表情を見る為だけに生きてるような
それ以外のアタシなんてどうでもいい
日常なんてたかが外側よ

好きと言われれば適当に
アタシも好きと返してもいい
だけど心の奥底だけは
貴方にしか許したりしない

卒業というタイムリミットが来れば
全部捨てられる物だけ選んできた
何もかも捨てたアタシを見捨てる程
非情になりきれない人だから

優しさの代わりに冷酷に見下ろして
氷で焼かれた肌がもっと求めるように
手を伸ばせば届く位置で
拒むみたいに愛して欲しい

それがふたりの形だと言うなら
どんなものでも受け入れられる
だから秘密の合鍵で互いを縛り
行き着くとこまで行こうよ



「貴方のトップシークレットを教えて」

『鍵をかけたまま』

『鍵をかけたまま』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-02

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