『不幸主義』

いかに自分が可哀想か
そういう価値観に縛られて


『不幸主義』


縛られていることに
気付かなければ
それとなく生きていける
だけどもっと同情を

いつだって自分が一番で
自分が中心にならなきゃ不安
あの子の悲劇より
アタシのが素敵でしょ

キラキラと勲章みたいに
可哀想っていう印を着けたい
アタシを見て
アタシだけを可哀想がって

どんな人と比べても
アタシの方が凄いから
小さな手に不幸を
力いっぱい握ったの

だけど年々目減りしてく
着飾った不幸が
色褪せている気がして
更なる不幸を願うのです

幸福なんて目障りなだけ
そんなのよりもっと
昂るこれを知らないなんて



「その可哀想も目障りね」

『不幸主義』

『不幸主義』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted