破った頁(らくがき集25年2月〜7月)

Take a Photo

弱いから 目に見えてないと不安で
触れないもの 形にしたくて
俺は写真を撮った

写真の中で永遠に続く
素敵なことだと思わないか

シャッターを切って
触れないもの 手に入れたら
あとは 色をなくすまで太陽の下で笑う

生きるってことじゃないだろうか

ブルーパレス

君の憂鬱に数字をつけて
僕の脳に住まわせる

君の憂鬱に名前をつけて
餌を与えて 肥らせる

ドアを叩けば蘇る あの時のこと
ドアを叩けば応えてくれた
あの 泣きそうな声で

君の憂鬱に名前をつけて
僕のペットにしてしまおう

休日は家から一歩も出ないで
君のことをかわいがろう

僕の脳に住み着いて
ずっとここにいればいい

夢の続き

今日も帰って 夢の続きを見よう

昨日の夢は 今朝終わったから

夢は 眠って 見よう
きっと 答えは そこにあるだろう

今だけ この瞬間だけ
忘れるなんて そんなの無理だ

頭の片隅を 侵し続けてる
あなたの顔が 濡れたままでいるから

今日の夢は 明日には終わる

明るい世界に
夢の代わりは 落ちてないから

夢は 眠って 見よう
目を 閉じて 見よう

支柱

始まらないまま 終わっていく
そんな日々なら 捨ててもいい
君に この身を 捧げてもいい

3月の終わりと 儚すぎる7日間の始まり
毎週末には燃え尽きる
そんな夢なら 蹴散らして

形ないものに 届かない手なら
抱きしめられないというなら
この身を 石にされてもいい
打ち砕かれるとしても 君と行こう

見つめ合わなくていい
君が見ている景色を見る

ただ そこに立っている
美しい蔦の絡まる柱
生も死もない
心は必要不可欠じゃない
けれど 少しだけ笑っていた

美しい蔦の絡まる柱
いつかすべては埋め尽くされて
二度と光を浴びることがなくても
僕はそこに立っている

知らない

はたから見る私ってどんな感じ?
「誰かをなくす痛みなんて知らない」
知りたくもないって顔してる

全身の中古品は毎日の自己表現
三年目の下着は永い夜の終わりを求めてる

今 私の心が強く動いたこと
誰も知らない

少年ような人 くん付けで呼んで
ちゃん付けで呼ばれたなら 死んでもいい

男も女もないようなあの人
考えたくもない"未来"とやらに
居てほしい

手を振る 笑いかける 泣いて見せる
あなたのこと 別に大切じゃないけどね

はたから見る私ってどんな感じ?
私も知らない 私なんて

少しでも好きならちょうだい
あなたの中の私

水槽

感情が抜け落ちる
水槽は蜜で満ちている
硝子越しの憧憬に怯えている
君の震える肩を抱いた

明日の秩序に背くなら
生活を演じる必要なんてない
孤独な日々を 口移しで
互いの身体に閉じ込めるんだ

過去は文字通り過ぎ去った事
喪失に慣れた振りの乾いた顔
朝が来るのは もうずっと
そう ずうっと先

感情が抜け落ちる
水槽はまだ満ちている
使い古しの辞書には無い
そんな言葉 探したけれど
「綺麗な名前」だなんてさ
見え透いたことを言っていた
あんまり眩しすぎる人には
嫉妬する気力も湧かないね
「かわいそう」だなんてさ
誰に対して言ってるんだろ
視線に踏まれて こんなに濡らして
呆れてものも言えないよ

感情をすり抜ける
感覚が水槽を満たしてる
嫌なことばかり頭に浮かぶの?
思い出の全てを傷に変えるの?
悲観に疑う余地が無い
そんな君の眼壊したいよ
泣いてもいいよ やめないから
次は僕に寄りかかって
鼓動を確かめさせてくれ

記憶の中にありふれてる味を
全て二人だけのものにしたら
他の誰かと何気ない午後過ごしたとしても
あの渇きに苛まれることだろう
なけなしの理性すらとろとろに溶かし
口移しで 互いを互いに閉じ込めるんだ

水槽は蜜で満ちている
僕はまだ息をしている
硝子の中で眠っている
君の耳元でそっと囁く

明日が来るのは もうずっと
そうずっと ずうっと先

それでいい

憂鬱な週末

助手席のあのこが微笑む
トランクのあいつと目が合う
幽霊みたいに冷たいキス
ゆらゆら揺れて
今 僕はなんの感情もない

誰もいないはずのキッチンから物音
夜の一歩手前というところで目を覚ます
みんな 僕の知らない話をする
別段 焦りというものも感じない

味覚 聴覚 踊らせて
しかし逃れられないときもある

思考の渦を 思考で埋めて
一粒 二粒 チョコレート

粉末を溶かして 悲しみのない世界
知らぬ間に僕はカフェイン中毒?

あのこの肩にあたまをあずける
カーテンの裏が気になる
朝の一歩手前というところで
幽霊みたいな冷たいキス
いつの間に 僕たちは裸?

百日紅

階段を踏み外したの
転がるように落ちていくわ

心の典拠を亡くしたの
縫い付けられたように動けない

昼行灯が浮かれてる夜
玄関先で喜劇を演じる
招き入れて 鍵をかけた
それが過ちのはじまりだった

逃避行さえ無意味に思える矮小な私
抱擁の中 事切れる 幻 幻 幻

過ぎたことをうだうだ言わせて
仕方無いなと頭を撫でて
屍が呷るアルコール
白い肉体とオートマティスム
あなたの背中を踏み付けたい

誰でもいいからあなたでいいわ
それが過ちのはじまりだった
理性に煮え湯を飲まされた
足音さえも 聞こえなかったわ
いつか見下げた存在(もの)に喰われる
欲望が花びらに変わる 錯視 錯視 策士

方舟に乗りそこねたの
後悔なんてしてもしきれない
ねえ だから終わりにするわ
上滑りの添削なんて不幸せ
現 現 現 は 憂鬱
いっそ一思いに 奪い尽くして

恋のテレパシー

「友達を花火大会に誘ったら彼氏と行くからって断られたつらい」という話を聞かされて、誘える友達がいるなんていいなあと思った、先週の水曜日。

999本のバラ。きっとそれは物理的に重い。

(右手の親指を立てるジェスチャー)
母親の”友達”(コレ)のTシャツが私に下りてくる。

二十歳の夏も私は無職。

年齢確認、勇気がない。
コストコ爆買い。私には関係ありません。

ネルンボ・ヌキフェラ 清らかな心
離れゆく愛

何もかもを忘れたいよ。
それが無理だから人は死にたいって思うのかもね。

恋のテレパシー 離れゆく愛
どうか私を救ってください

勉強もしてなければ青春もしてない学生時代。

二十歳の夏も私は無職。

孤立は自立じゃないらしい。
蝉が鳴かない夏はない。

恋のテレパシー、清らかな心で。

回収

クソみてぇな学生共を頭の中で殺す
行き場のない苛立ちは自分に飛んでくる
人を殴ったら犯罪者
物を壊したら犯罪者
行き場のない感情(ゴミ)はゴミ箱へ
昨日 あのこの写真を消した
なあ 俺って 人でなしだろうか?

自分を信じるってやつをやりたいよ
なるべく素直でいようとしてる
もっと自然に 軽やかに
今できることをやる
そんな幻追いかけてる
「世間様はお前なんかお呼びじゃねぇ」
弱ったな
一番嫌いな人間が 一番近くにいるなんて

人を殺したら犯罪者
なら自分殺してさようなら
人を人とも思わない
それくらいの方が
うまく生きられるんですか
その袋の中身 少しでいいから
俺に分けてくれませんか
いとも簡単に人を嫌う
その割に嫌われることを恐れてる
なあ 俺って 卑怯者だろうか

泣きたい時に泣ける そんな大人
どれくらいいるもんなんだろうね
泣きたい時に泣ける そんなやつ
この世界は大人と呼んでくれないんだろう
泣きたいときに泣く 俺の感情の価値は
日々下がり続けてる

言葉には紐づくべきところがあって
皆何かを信じて
抱きしめたり手放したりするんだろう
僕の言葉はあなたに向かって
通り抜け あなたからどこかへ
回り回ってゴミ捨て場なら
粗大ゴミのシールを貼ってよ
虚しくって 耐えられなくなったら
また 拾いにくればいい

使い切れないほど持っているものを
あれこれ買い足したそばから捨てる
そんな気分さ
何か変わるかな そんなふうに魔が差して
なんでもやっちゃいそうな雰囲気
頭の中で火を付ける
誰もいない夜に明かりを灯す
街なかの制服共は 気付いたら年下
早いもんだね
なあ あんま 気にすんなよ

花屋のレシート
宛名のない手紙
日付のない履歴書
精液とティッシュ
丸めて投げ捨ててしまえば
どれも大して変わりはしない
頭でも叩いて忘れちまおうぜ
ほら呆れるほどお前は変われない
寝て起きたら消えてねぇかな
理屈のない欲望(ゴミ)は収集車へ
ぐちゃぐちゃに砕かれてリサイクルされて
なんかの役に立ったらいいな

どんなものでも結構です
大きなものや重たいもの
量の多少に関わらず
お引き取り致します
壊れていても構いません
歪んでいても構いません

どうぞ 僕にください

破った頁(らくがき集25年2月〜7月)

破った頁(らくがき集25年2月〜7月)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2025-05-19

Copyrighted
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Copyrighted
  1. Take a Photo
  2. ブルーパレス
  3. 夢の続き
  4. 支柱
  5. 知らない
  6. 水槽
  7. 憂鬱な週末
  8. 百日紅
  9. 恋のテレパシー
  10. 回収