『ブルジョワ』

痛いのが好き
痛ければ痛いほど飛べるの


『ブルジョワ』


痛みを知らないことが怖くて
貴方に教えてもらった秘密の遊び
傷つけられる度に愛しさは募って
このまま溺れて死んでしまいたかった

跪くその裏でこんな顔を隠していたの?
アタシには到底思いつかない方法で
貴方の長い指は痛みと快楽の
すれすれを行ったり来たり

黒以外の貴方を想像できないように
暴かれるまでアタシもひた隠してきた
けれど声が髪が体温がいつからか
耐え難い熱を持って火をつけた

耳元で囁かれる言葉にYESと答えれば
予定調和の完璧な悲鳴に変わり
高らかに鳴いて慈悲を請う時
アタシの背中には羽根が生える

望むなら何処までも連れて行くわ
空の上の上に楽園があると言うなら
だけど無慈悲に切り落とされるのを
心の底から願って息を潜める

慈悲深い貴方はその時もきっと
今と同じ冷たい目で見下ろすのね
本性を暴く振りでアタシに尽くす
悲しい温情にまた肌は痛みを訴えても

親切で紳士的な人よ、少し厳しいけれど
誰の前でもそう言ってあげる
アタシの目元より高い位置で
あの夜と同じように唇が弧を描く



「貴方がくれる罰は全部好き」

『ブルジョワ』

『ブルジョワ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-05-14

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