『仮初』
あの子を愛した指が
アタシの肌を滑る
『仮初』
それは倒錯的な快楽
ひっそりと笑ったのを
見ない振りしてくれるけど
悪い顔してたならごめん
アタシの高揚は勝利の味
負けるなんて嫌だから
常に見下ろす立場が最高
特にあの子に関しては
貴方を道具にしたこと
そういうのはお互い黙りましょ
味気ない行為に意味は無いの
するならするで美味しいのがいい
執着の矛先はいつもあの子で
永遠に交わらない感情の迷宮
愛と憎しみなんて紙一重だから
アタシは裏切り続ける
裏切りの果てに何があるか
誰も知らない場所に行きたい
その時本当の意味であの子に
勝利して手に入れられるはず
欲するものは今は曖昧でも
必ずあの子が居て必要だから
忘れられるくらいなら憎まれたい
アタシはあの子に付き纏う影
愛なんて要らないけど
無関心は許せない
貴方の肌にあの子を探して
味わう快楽は罪の味
本物は手に入らないから
今はこれで満足できる
いつか満足できなくなった時
アタシはどんな罪を犯すだろう
「影に呑み込まれるあの子を見たい」
『仮初』